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泳ぐ女
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5.抱擁

怪我をして体で男性の相手をする事がなくなり、なるみにとってはゆっくりとした時間が過ぎた。その間もちょっとした撮影やインタビューが入っていたが、いつもの生活から比べると随分ゆったりとしたものだった。
その間も細川とはいつも通りに仕事を一緒にこなしていた。


「着きましたよ」
なるみは助手席で少し眠ってしまっていた。
「あ……んん…」
男性の相手をしない日々がここ暫く続いていた。
そんな生活に少しずつなるみは慣れてきていた。
「細川さん…」
なるみは細川を見た。

「少し…、お茶でも飲みませんか?」
何気なくなるみは言った。
細川は彼女を見た。
どうしようか少し迷っていた。
「何だか、……最近少しヒマで…」
恥ずかしそうになるみは微笑んだ。
「そうですね…」
細川は答えた。


彼がなるみの部屋へ入るのは、この前に続いて2回目だ。
先日の出来事を思い出し、なるみは顔を少し背けてしまう。
彼女の部屋は相変わらず優しい雰囲気のするインテリアで、ラベンダーのいい香りが漂っていた。普段はごく普通の女の子らしい暮らし振りが、細川には新鮮な感じがした。
なるみが出したコーヒーを一口飲んで、細川は言った。
「この豆、すごくいい豆でしょう?」
なるみは照れながら笑う。
「ふふふ…。分かりました?」
前に、何かにつけこだわりのあるお客から貰ったものだった。

なるみは細川から少し離れたソファーの端に腰をおろす。
二人でこうしていられるだけで、なるみは緊張して指が震えそうになる。
「細川さんは…、『X』に勤めていたんでしょう?」
「知っていたんですか?」
「うん、…お店の女の子がうわさしてたから。
なるみのマネージャーいいなぁって言われましたよ」
エックスといえば、今、風俗の子の間で大人気のホストクラブだ。
細川はなるみには秘密にしていたつもりだった。
彼はその店で以前ナンバーワンだったのだ。
彼はまだXを辞めたわけではなかった。今もなるみの側にいなくて済むときはヘルプで店には出勤していた。なるみとの契約が切れる半年後には、新規店の店長として正式に戻る予定になっている。なるみのマネージャーとして働いているのは社長の指示だ。神崎には、細川になるみのマネージャーをさせて彼を見極めるという目的があった。
「Xっのホストって、…色んな女の子に憧れられてますよね?」
「まあ、…そうありたいですけどね」
細川は答えた。
「そこで、細川さんはナンバーワンだったって、…お店の子が言ってました」
「…まあ、そこそこでしたけど…」
「………」
なるみが彼から時々感じる強いフェエロモンは、やはり確かだったのだ。
なるみは思った。彼のクールな中にふと見せる優しさに、女の子は夢中になってしまうのだろう。そして、彼女自身もまた、既に彼に魅了されていた。
しかしなるみは細川と一緒にいると、自分が凄く子どもっぽいような気がしてしまう。
なるみは話を変えた。

「お店の方には、…いつから出勤になるんですか?」
「なるみちゃんの体が完全に治ったら…。それから考えましょう」
なるみはできればもう店には戻りたくなかった。
それでも生きていくためにはこうしていくしかかいのだと、自分に言い聞かせた。
先日味わった恐怖が、思い出されてくる。

(大丈夫…昔はもっと色んな事が最低だった…)

なるみは何とか前向きに考えようとした。
細川は、なるみが以前には見せなかった不安を感じているのを悟った。
自分の契約が終る頃までには、何とかしてやりたいと思っていた。


そして1週間が過ぎた。
「どうでしたか?」
病院を出たなるみに、運転席から細川が声をかけた。
なるみは黙って助手席のドアを開けてシートに座る。
「…はい…。もう完治したって…」
「……良かったですね」
「……」
なるみは頷いたが、心の中は重たかった。
体が治ったという事は、また男の相手をするという事だ。


一人で過ごす午後。
シャワーから上がって、自分の体を鏡に映してまじまじと見てみる。
体の割に不自然なほどにくびれたウエスト…豊満な乳房…いつのまにかこんなにも女の体になっていた。
この風貌のせいで、自分は昔から男性に狙われやすいのは分かっていた。
この世界に飛び込む前から、随分と酷い目に合っていた。なるみは身の回りの男性を常に警戒していなければならなかった。そういう意味では、欲望の中に飛び込んだ今の方が精神的には楽だった。
客から貰ったバイブレーターを手にする。自分の感じ易いところへ当ててスイッチを入れた。
低い機械音がなるみの寝室に響く。
なるみの身体はいっこうに反応を示さない。
いつまでたっても渇いたままだった。
「あたし……こわい……」
先日の一件で、すっかり気持ちが弱くなっていた。
「どうしよう……こんなんじゃ…」
なるみは細川の携帯へ電話をかけた。


「はい、細川です」
『あたし……あの、…なるみですけど……』

(珍しいな……)
細川はXのロッカールームにいた。
なるみが休みの時や彼女が店に出ている時などは、こうしてヘルプで来ていた。
ロッカーの端へ寄って、電話が繋がりやすいようにする。
『ごめんなさい……お休みなのに…』
「どうかしましたか?」
『あの…あたし…』
「はい?」
『あの……で、できなくなりそうなんです…どうしよう
…何だか怖くて……どうしたらいいですか…?』
なるみの泣きそうな声が受話器から聞こえる。
細川はいても立ってもいられない気持ちになる。
「話を聞きに行きましょうか?」
ここのところ、時折暗い表情をなるみが見せていた事は気になっていた。
返事を返さないなるみに、細川は言った。
「今から行きますから。30分で着きます」

携帯を切って、急いで帰り支度を始める。
「尚輝、今日都合悪くなった。またよろしく頼むな」
「あぁ…、なるみちゃん?もしかして?」
「急用でな…。またな。すまん」
「お前は今はここにいていないようなもんだからな。気にすんな。
…なるみちゃんによろしくな。柾」
細川は車を飛ばしてなるみのマンションへと急いだ。

呼び出し音が鳴り、なるみはモニターで細川を確認する。

(何だかいつもと雰囲気が違う…)

ドアを開けて、細川を中へと通す。
細川は普段は後ろに撫で付けている髪を、今日はサラサラのままにしていた。白いシャツの前を開いて、細い体に濃紺のジャケットを着ている。眼鏡も今日はしていない。こうして見ると、普段よりも若く見えた。胸元にはプラチナのチェーンをしていた。いつもよりセクシーな彼の雰囲気に、なるみはドキドキしてしまう。

(ああ、この人は一流のホストだったんだっけ…)
そんな事を実感した。
「どうかしましたか?」
心配そうに細川はなるみを見た。
「あ、……あぁ…」
なるみは現実に引き戻された。
「あの……あの、こんな事、相談できるのって細川さんしかいなくって……」
「………」
前かがみの姿勢でソファーに腰を落としている細川の指先に、なるみと一緒の時にはしていない指輪が幾つも光っていた。そんな細川に戸惑いながら、なるみは話し出した。

セックスが怖くて、受け入れられない事を細川に淡々と語った。
二人の間に長い沈黙があった。
唐突に、細川は言った。

「僕が、抱いてあげます」

「え…」
なるみは驚いて顔を上げた。
「大丈夫です」

(え、…今、…なんて言ったの…?…)

「こっちが寝室ですよね?」
細川は立ち上がった。
寝室へ向かい始める。
「あの、…ほ、細川さん?」
なるみは慌ててその後を追いかけた。
「怖がらないでも、大丈夫ですから。僕に任せてください」
まるで仕事の打ち合わせのように淡々と細川は言った。
「抱く…って、…あ、あの、細川さんっ」
ふいに細川はなるみの方へ振り返った。
優しい目でなるみを見る。
そして彼女の髪を撫でた。
なるみはされるがまま、動けなくなる。彼の目を見ると何も言えなくなる。
この人には逆らえない。

「着ているものを全部脱いでください」

寝室に入ると、有無を言わせない口調で細川は言った。
最初ためらったが、なるみは服を脱いでいった。
人前で肌をさらす事に慣れていたし、撮影の時には細川にも全裸を見せていた。
それなのに、こうして二人きりで肌を露出するのは恥ずかしかった。
服を全部脱いで、セミダブルのベッドの上に上半身を起こした状態でなるみは座った。細川は着ていたジャケットとシャツを脱ぎ、上半身裸になった。首筋にプラチナが光る。彼の体は細身だったが、鍛えられていた。
「ホントに…?細川さん」
心細そうな表情で、なるみは彼を見た。
「……」
細川は黙って頷いて、なるみに優しい表情を向けた。
その顔に、なるみはドキドキしてしまう。

細川は全裸の彼女を目の前にして、改めてなるみの女の魅力を感じた。
(可愛い……本当に……)
もちろん素材の良さはあった。
しかし、自分の前にいる少女の不安気な表情、視線、艶…どこをとっても男を欲情させる要素ばかりだ。
戸惑っているなるみの唇に、細川は自分の唇を重ねた。

柔らかいキスに、なるみはまたぎこちなくなってしまう。
そっとベッドへと押し倒されていく。
こんな風にして結ばれてしまう事を、心のどこかでなるみは悲しんでいた。
細川には、自分のこの体を抱いて欲しくなかった。細川にだけは……。
その反面、彼に抱かれるのだという期待感が、体のあちこちから生まれてくる。
それは激しい緊張となって、なるみを圧倒していく。
恋愛をした事のない彼女にとって、この説明のできない感覚は、彼女自身を混乱させるばかりだった。
あまりの緊張に、なるみは震えていた。

細川はできる限り優しくキスをした。
そして震える彼女を感じた。
「怖がらなくても、いいよ……」
優しく囁きながら、震えるなるみの手を握った。
彼女が落ち着くように、髪をそっと撫でる。
子どものようななるみに、いつしか細川に愛しい気持ちが芽生える。
彼女はセックスに対して怯えているのだと、細川は思っていた。
自分への緊張のために固くなっているのだとは、全く気付いていなかった。
細川の唇が、なるみの耳からうなじへと移る。
彼の吐く息が、彼女の首筋を柔らかく刺激した。
「………」

なるみは声をあげることすらできなくなっていた。
(私の部屋で、…細川さんと二人きり…裸になって…)
今まで何度も心の通わない相手と行ってきた行為とは、全く違うものだった。
体を裏返され、なるみは背中にたくさんキスされる。
なるみの長い髪を体の脇によけながら、細川は彼女の滑らかな背中を舐めた。
「んん……はぁ……」
細川の唇が腰のあたりまで来たとき、初めてなるみは声を出した。

彼はなるみの背中を上から下まで何度も優しく撫でた。
少しずつ、なるみの気持ちもリラックスしていく。
体に触れられているだけで気持ちが落ち着いて、快感とは違う甘さが、体に広がっていた。背中を撫でられながら、首筋の後ろにキスされる。

(ああ……いい気持ち……)
心臓の鼓動がはっきりと分かるほど、なるみはドキドキしていた。
(どうして……こんな風になってしまうの…)
切なさがこみ上げてきて、涙が零れそうになる。

(あたし、…細川さんが好きなんだ…)

初めて自覚する「好き」という感情…
(ああ……どうしよう…)

細川は再びなるみの唇にキスし、彼女の体を仰向けに戻した。
形のよい乳房が細川の胸に当たる。
彼は鎖骨のあたりに唇を這わせ、乳房をそっと両手で包んだ。10代の体は強い弾力を持ち、細川の体のあちこちにぶつかってくる。結局、男の究極の理想はこんな娘なんじゃないだろうかと細川は考える。
たくさんの女を抱いた彼にとっても、間違いなくなるみは最上級だった。
なるみは静かに細川にされるがままになっていた。
胸に彼の顔がうずめられると、自分の心臓の音が聞かれてしまうそうで、ますますなるみの身体は固くなってしまう。
(怖いのか…?)
まるで処女を抱いているような感じに細川は戸惑う。
目の前の少女は、とても売れっ子の風俗嬢には見えない。
なるみは固く目を閉じ、さっきから声も出していない。
細川が愛撫を繰り返しても、少しリラックスしては緊張していた。
(セックスが怖いと言っていたが、本当だったんだな)

彼の動きが止まったのに気付き、なるみが薄く目を開けた。
彼はなるみを見つめていた。二人の目が合い、細川の表情が緩む。
顔にかかった前髪のせいで、いつもよりも更に優しく見える。
普段とは違う彼の雰囲気と仕草に、なるみの心臓はまた締めつけられる。
今にも泣き出してしまいそうな不安気な彼女に、細川は言った。
「怖い…?」
なるみは首を振った。

(そうじゃない……)

細川に対する自分の気持ちを言葉にすることなんて、とてもなるみにはできなかった。生まれてから今まで、恋愛なんて考えたこともなかった彼女は、まるで少女のように自分の気持ちに不器用だった。
「細川さん………」
瞳が潤んでくる。

「……恥ずかしいんです……」
やっと声を振り絞ってなるみは言った。
意外な彼女の言葉に、細川は驚いた。
大勢の男に体を晒しているばかりか、彼自身も何度もなるみの裸は仕事で見ているのだ。しかしなるみの言葉は嘘ではなさそうである。
「…………」
風俗嬢としての『なるみ』ではない、一人の女の子が突然彼の前に現れたような気がした。その姿はあまりにも愛しくて、細川は戸惑う。
彼は首を振り自分を取り戻して、改めて彼女の両方の乳房に手をあてる。
両手に彼女の鼓動が痛いほど伝わってくる。
なるみの気持ちまで、細川に伝わってくるようだ。
(まさか……)

彼はこれからの行為に没頭するために、なるみの乳首を舌で転がした。
「………」
痛みを感じるギリギリのところまで、舌を使いながら乳首を吸う。
「うぅ……はぅん…」
やっとなるみが声を上げた。
そのまま彼は彼女の下半身へと手を伸ばす。
なるみの亀裂にそって、指を滑らせる。
奥の方に、少しだけ湿り気を感じた。
「あ、…ん」
なるみの体がビクっと振れた。
彼女の入り口のまわりを、円を描くように指で弄る。
「はぁ…あ……」
序々に愛液が外側に溢れてくる。
細川は、なるみの足を開かせた。
彼女は少し抵抗したが、すぐに力を抜いた。
彼はなるみの両脚の間に顔をうずめ、その場所にそっとキスした。
「あぁぁ……んっ…」
細川は彼女のもう一つの唇に、自分の唇をちょうど重ねるようにして全体を吸った。
「あ、…あんっ、…あぁぁんっ…」
全体を吸いながら、中心にある固まりを舌で弾く。
(ああ…これ……すごい気持ちいい…)
なるみはこんな風に舐められたのは初めてだった。
(すごい……気持ちいい……)
さっきまで感じていた精神的な興奮とは別に、次第に肉体が反応してくる。
今度は快感に流されてしまう。
「あぁっ……はぁっ…あぁぁっ…」
そっと細川の指が挿入されていた。

「痛くないか?」
「はぁ…んん……だいじょうぶ、…です…」
すっかり濡れてきたなるみは、入ってくるものを拒まずに受け入れられるようになっていた。細川は入れる指の本数を増やし、出したり入れたりしてみる。
「大丈夫か…?」
「はい……あっ…あぁんっ…」
指を引くと、なるみの粘液が外側に零れた。
「はぁ…あぁんっ…」
なるみの様子を見て、細川はもう痛みはなさそうだと確信する。
再び口で、なるみの陰部全体を吸ってやる。
「うあっ!……はぁぁんっ…!」
大きくなったなるみの芽を、舌先でさらに強く弾く。
「ああ!…んあぁぁんっ!」
なるみは細川の頭を掴んだ。
彼が顔を上げる。なるみは薄目を開けて細川を見た。
その出会った視線が色っぽくて、細川はゾクっとする。

「それ……すごい、です…」
なるみはつぶやいた。
細川は再び愛撫を再開する。
「んあ、あぁっ!…あぁ!…あぁぁんっ!」
なるみの体に快感がこみあげる。
知らず知らずのうちに腰を動かしてしまう。
更に細川の舌を求め、自分から擦り付ける。
さっきまで処女のように固くなっていた姿が消え、いやらしい女の顔になる。
「あぁ、…あぁ、…あ、あ、…あああああっ」
すぐになるみは達してしまった。


細川は自分の着ていたものを全て脱ぎ、休む間を与えずなるみに侵入した。
「んあぁぁぁぁっ!」
達した体にすぐに挿れられ、久しぶりのその快感の大きさに1回の挿入でまたもやなるみは達してしまいそうになる。
生で入ってきたその感触は、ゴムをつけている時のそれとは全く違った生々しい快感だった。あまりにも甘美な衝撃に、なるみは一瞬細川に抱かれているのだということを忘れた。
純粋に襲ってくる肉欲に、なるみは集中していた。

細川は彼女のそんな乱れた様子に満足していた。
普段の少女の顔のそのギャップに、彼の興奮も高まる。
彼女の内側はギュウギュウと細川を締め付け、またそれとは別の痙攣のような動きも加わっていた。
(男達を魅了させる理由が、ここにもあったのか…)
細川自身も、こんな感触を持つ女は初めてだった。
じかに触っているこの何ともいえない強い感触に、自分が流されてしまわないようにと思った。少しでも動かすとすぐに達しそうになるなるみを見て、細川は彼女の上半身を起こしてやる。向き合う形になって、細川はなるみを抱きしめる。
「なるみ……」
優しい呼びかけに、なるみは現実に引き戻された。
「あ……細川さん…」
座った姿勢で、細川の左手はなるみの腰を支え、右手は頭の後ろを撫でていた。
なるみの長い髪を耳の上から後ろへ流しながら、彼はなるみにキスした。
細川に貫かれたまま、自分の舌に触れる彼の舌の感触を味わいながらなるみは感激していた。

(もう、全て彼のものになりたい……)

自分の心も身体も、全部細川にあげてしまいたかった。
この行為が終ってしまっても、ずっと彼だけに抱かれる事ができたなら…
(ずっとこのままで、いたい……)
なるみは細川の背中へ手をまわし、ギュっと抱きしめた。
もうこれ以上奥へ進めないところまで自分の体の中に押し込んで、深く彼を感じていた。精神的な快感と肉体的な快感が、体の中で一つになり、なるみは心ごと溶けて砕けてしまいそうになる。
「ずっと……こうしていたい……」
なるみは声に出していた。
骨ばった腕で彼女の髪を撫で続けながら、細川はそんななるみの表情を見つめていた。

(可愛い……)
彼の中にも愛しい感情が芽生えていた。
先を考えずに、今こうしていられるという事をただ堪能したかった。
お互いに、意志とは関係なく大勢の相手をしてきた。
これからも、そうなるだろう。
しかし、今はなるみを抱きたいと思った。
そして細川は目の前にいる彼女も、自分を求めていると感じた。
なるみの体を少し倒し、細川は改めて彼女を味わった。

「はぁっ……あぅっ、…んあ、…うあっ…」
なるみは悦びの声をあげる。
何度も体を突かれ、全身に電気のような快感が走る。
(気持ちいい……いい…あぁ…細川さん…)
「あんっ!…あん、あんっ…」

(すごいな……)
なるみの内側の動きに、細川は驚いていた。
まるで自分のものが違う腕に、ねっとりと掴まれているようだ。
(この娘……すごいな…)
細川もなるみとのセックスに、いつしか夢中になっていた。
正常位になり、思い切りなるみの中へ突き立てる。
「あっ、…あ、…あ、あ、…はぁぁぁんっ!」
彼の熱いものが、なるみの中を掻き回す。

乳房を揺らしながら、なるみは快楽の波へと溺れていた。
細川に身も心も任せ、だんだんと何も考えられなくなっていく。
自分の体がドロドロになっていくような気がした。
自分自身がどこかへ飛ばされてしまう。
強い快感が押し寄せてくる。
「あ、あ、…あ、あ…あっ、…な、中にっ…だ、出してっ…おね、がいっ…」
なるみはもう限界だった。
細川が彼女へ打ち付けるたびに、更になるみの中が強く締め付ける。
そして動くなるみの感触が、彼からも理性を奪う。

「んあぁ!あぁぁぁーーーんっ!」
なるみの内側が激しく痙攣する。細川も彼女の中で果てた。
 

   

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著作権は柚子熊にあります。
いかなる場合でも無断転載を固くお断りします。

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