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泳ぐ女
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10.過去

少女の悲劇は、突然にやってきた。

中学2年の夏に、母親が突然の事故で亡くなった。
父親は人が変わったようになり、不幸が続いた。
冬には会社が倒産してしまったのだ。
父は荒れた。
兄との3人暮らしだったが、高校生の兄はそんな父を恐れるように、外泊を繰り返すようになっていた。
ある冬の夜だった。

「弘樹は帰ってこないのか?」
父親は酔っ払って帰ってきた。
もう深夜の1時を回っていた。
少女はちらっと父親を見たが、返事もせずに部屋に帰っていこうとしていた。
「おいー!待てよ、由希子!」
「何よ!」
父は娘の手を掴んだ。
「ちょっと、飲めよ!」
「何言ってんの?あたし中学生だよ?」
「お前はオレの言うことが聞けないのか!?」
父は娘を殴った。
娘は体を廊下の壁に思いきりぶつけた。
「来い!罰だ!」
酒の匂いをぷんぷんさせて、父は娘の髪をひっぱって、リビングへ無理やり連れていった。
「ちょっと!やめてよ!」
娘は懸命に逃れようとするが、酔った父の力は手加減がなかった。
父は娘をソファーに突き倒すと、両手をリビングのイスに縛りつけた。
「何すんの?ちょっと!お父さん!」
娘は尋常でない父の目の輝きをみた。
「お前も随分成長したなあ」
父親はいやらしい目で娘を見つめた。
少女はパジャマすがたで、ノーブラの乳首がすけていた。
父親は娘のパジャマの胸をボタンもはずさずに、力任せにひきちぎった。
「いや!いやああああああ!」
娘は絶叫する。
まだ小さな乳房があらわになる。
「うるさいなあ」
父は近くにあった台拭きを娘の口にむりやり詰めた。
「んぐ!んん!」
娘は手を動かすことができず、父親にまたがられた。
父は娘の乳房を少し触ったが、すぐに下半身の方に興味が移ったようだ。
「んんん!んんーーーー!」
父は驚くような素早さで、娘のズボンとパンティを剥ぎ取った。
薄い恥毛がむきだしになってしまう。
父はその晩、娘を犯した。
娘は初めての経験を、父親に奪われた。


それから、兄の外泊のときは必ず、娘は父親に犯された。

しばらくは、父の暴行も収まっていたが、春になるころには、また娘を犯した。
娘はしだいに心を閉ざしていった。

進路相談のことで、担任に呼び出されたが、いつも適当に返事をしていた。
そのおかげで、何度も呼び出されることになった。
担任は20代後半のさえない男だった。
やがて、担任が少女を見る目がしだいに変わっていった。
誰もいない放課後に呼び出され、少女は担任にも無理やり犯されてしまった。

 
兄は、父と妹の関係にうすうす気がついていた。
夜中に帰ってみると、リビングで父が妹を無理やり犯していた。
その異様な光景に、兄は固まり、行為が終わるまで動けないでいた。
父はその兄に気づき、自分が済んでしまうと、お前もやれと、兄に促した。
兄は呆然としていたが、多感な体は反応してしまう。
妹は、ソファーで下半身を剥き出しにしていた。
兄は抵抗した。しかし、兄が拒否すると父は猛烈な勢いで妹に暴力をふるい始めた。
何とか制止しようとしたが、父はお前がするまで娘を殴ると大騒ぎした。
妹は暴力に耐えられず、結局自分から兄に脚を開いてしまう。
兄はとうとう妹と交わってしまった。
兄弟は、その夜から口を聞くことはなかった。
兄の外泊は、以前よりも多くなっていった。


少女の生理が止まった。
誰の子だかも分からないまま、手術をした。

父親にタクシーでつれていかれた先は、見知らぬマンションだった。
「野口さん、娘さん可愛いなあ」
中には男たちが数人いた。5,6人だった。
「じゃあ、私は3時間後に…」
父親は一人の男から何かを受け取り、部屋を出て行ってしまった。
娘は何も言わず、黙ってうつむいていた。
これからおこること、父親が今もらったもの、…14歳の自分にも理解できた。
(帰りたい…でも、帰ったらアイツがいる…)
「ユキコちゃん、だろ」
痩せた男がニヤニヤして話しかけてくる。
少女は黙ったままだった。
「可愛いなあ、ほんと、野口さん、やっちゃってんじゃないの?」
痩せた男がじろじろと少女を値踏みする。
「じゃあ、時間もないことだし、始めちゃいましょうか」
ニット帽をかぶった男が事務的に切り出した。
少女が戸惑う間もなく、3人の男に体を押さえつけられる。
「イヤ!いや!」
少女はバタバタと脚を動かすが、すぐに抑えられてしまう。
多分犯されるんだろうと分かっていたが、実際に見知らぬ男たちに囲まれると恐怖が走った。
「手は面倒だから、縛っておけ」
少女は両手が何かに固定されるのを感じた。
きつく縛られて、腕が痛い。
見るからに遊び人風の男が、少女の服に手をかけていく。
「この子はいいねえ、顔が最高に可愛いもの」
日焼けした指は、簡単に洋服を剥ぎ取っていく。
小さな乳房に、ピンク色の乳首がのっかっている。
「いいね、このオッパイ、成長してますって感じで」
少女は恐怖に震えて、声も出せないでいた。
裸にされるまで、そう時間はかからなかった。
「じゃあ、まず簡単に味見させていただきます。」
日焼けした男が、乳首を舐めて行く。
「ひゃ…いやあ…」
少女がか細い声をあげる。
「可愛い声、これからたくさん聞かせてもらうよ…」
他の男たちは、傍観していた。
二人の男は、それぞれ片足を抑えていた。
一人の男が、カメラを廻している。
もう一人の男も、カメラを持っていた。
ビデオを撮影されているのだ。
(いや…いやあ…)
少女の目から涙が出てきた。
乳首を舐める舌がしつこく体の上を這う。
「やあ…いやあ…」
両脚を大きく開かれて、カメラが股間を捕らえる。
「まだ、かわいいもんですね…」
指で中身をひろげられた。
「あんまり、経験ないみたいだね、まあ、この年だしな」
いやらしい笑いが男たちの間に広がる。
少女の幼い性器は、からからに乾いていた。
「じゃあ、いきますか」
日焼けした男の顔が近づいてくる。
舌先が、少女の未熟な部分にふれた。
「!」
少女の体がビクっとなる。
「や…イヤ…」
少女は自分の大事な部分に他人に舐められているのが、信じられなかった。
父親に犯されていたがまだ性行為というものがどんなものなのか、分からなかった。


初めての絶頂を迎えた。
その姿はしっかりとカメラに収められていた。

その後は、何人の男が自分に入ってきたのか、何回されたのか、少女は分からなかった。
男たちは、替わるがわる少女の中に入るたびに、歓声を上げる。
結局、カメラを廻す男たちもガマンできずに、少女の中に入ってきた。
少女は、現実に戻ってはまた突き上げられて、半狂乱になりそうだった。
ひととおり男たちが満足すると、少女は様々な形に縛られて、器具で侮辱されていった。少女は、これが現実に自分の身におきているのが信じられなかった。
バイブレーターも、少女の性感を高ぶらせるための道具になっていた。
少女は男たちにされるがまま、男たちの想像以上の反応で応えていった。


父親に車で連れて帰られたときには、もう夜を回っていた。
父は、娘を売った金で呑みに出かけてしまった。
少女は、父親が残りの金を隠すところを見ていた。
自分の部屋に戻ると、ベッドに横になる。
手首には、生々しいあざができていた。
(あたし…これからどうなっちゃうんだろう…)
近親相姦、レイプ、中絶、ビデオ、あやしい器具…
そして、今日初めて知った激しい高ぶり…
(もう、生きていけないかも…)
少女は本気で自殺を考えたが、思いとどまった。

(あした…明日がある…)
母親が亡くなってから、初めて、前向きな気持ちが芽生えていた。
落ちるところまで落ちた末の、光だった。


次の日、少女は父親の隠した金を握り締めて、家を出て行った。
まだ14歳だった。


住み込みで働けるような店を探した。
ひと目で未成年と分かる少女の風貌に、一般の店は断りを入れてきた。
都会の中で、スポーツ新聞を握り締めて少女が訪れたのは、風俗店だった。
「君、未成年でしょ?」
「でも、もう17歳です」
「あのねえ、18じゃないと働けないの。一応ね」
店主は、17という年齢も信じていなかったが、少女のあまりの外見のかわいらしさに、このまま手放すのは惜しいと思った。
「ここ、どういうことする店だか分かってんの?」
少女はほとんど飛び込みで入った店なので、よく分かっていなかった。
「分からないですけど…。でもなんとなく分かります」
店主はため息をついた。
都内に多くのチェーン店を持つピンサロだった。
店主はかなりやり手で、まだ30少し超えたばかりだったが、最大手のこの店を任されていた。
つま先から、頭のてっぺんまで、舐めるように少女を見た。
「ちょっと、おいで」
店主が裏から店に案内する。
防犯カメラに映っている席での一部始終を、少女に見せた。
「こんなこと、するんだけど、大丈夫なの?」
店主は再度念をおす。
「…はい」
カメラには、女の子が、男性に口や手で奉仕していた。
(このくらいのことなら…大丈夫…)
店主は少女の表情に安堵を感じた。
「じゃあ、明日からでも、来てもらおうか?」
「はい!…あ、あの…すみません…住むところが…必要なんですけど…」
店主はいかにも家出少女といった彼女を、どうしようかとしばらく迷ったが、
仕事がイヤで抜け出すことはないだろうと踏んで、採用することにした。
何しろ、ルックスが素晴らしくいい。
この子なら客を集められる。
店内は暗いので、化粧をすれば何とか年齢はごまかせるだろう。
「じゃあ、付いて来なさい」

車で送られると、そこはビルの一室だった。
入り口はオフィスとは別になっており、オートロックで住居スペースに入れるようになっていた。
「ここは、系列風俗店の女の子が住んだりしてるから」
「はい…」
予想していたよりもかなり贅沢な住まいに、少女は戸惑った。
店主が鍵を開けて、部屋の中に入った。
ワンルームだが、ベッドや家具が全て揃っている。
「こんな…いいところに…住んでいいんでしょうか…?」
「ああ、頑張ってくれよ」
本来このクラスの部屋には、なかなか女の子を入居させないのだが、
この少女はすぐに人気が出てしまうだろう。
そうなると、安いアパートだと何かと支障が出てくる。
この部屋には女の子を管理する盗聴器などの装置がいくつかついていた。
部屋の説明をひととおりすると、店主はベッドに座った。
「さてと、仕事の説明をするから」
「はい…」
「えーと、名前は、なんだったけ?」
「鈴木です…」
少女はとっさに適当な名前を言っていた。
「下の名前は?」
「あの…なるみです…」
「店では、なるみで、いいかな?」
「はい、かまいません」
「じゃあ、さっそくだけど、サービスの説明をするから」

少女は店主にひととおりサービスの内容を教えてもらった。
全くこういう世界は初めてだというと、店主を直にサービスすることになった。
「あの、初めてなので…緊張します…」
少女は恥ずかしそうに、うつむいた。
その姿は愛らしく、男心を掴む。
店主は男性の扱い方を身をもって説明した。
少女は店主の男性器を口に含んだ。
店主は細かく指示をしていく。
少女は飲み込みがよく、慣れればかなりのテクニックを身につけることができるだろう。
「もう、いい、これで」
店主は少女を自分から引き剥がした。
見上げた少女の目が、艶っぽく輝いていた。
店主は、少女をベッドに横にならせて、服を脱がして行った。
「エッチするんですか?」
少女が聞いてくる。ストレートな聞き方に店主は戸惑う。
「そうだな…。」
店主は高ぶっていた。少女が抵抗してもするつもりだった。
少女は素直に、彼のされるがままになっていた。
少女の手首には、縛られたようなあざが残っている。
どうみても中学生くらいの少女の、ここにたどりついた理由を感じさせた。
店主は少しためらったが、彼女を抱くことにした。
風俗関係の仕事を長年している彼は、女を悦ばせるテクニックもなかなかのものだった。
「あ…ああん…」
すぐに少女の体に先日の感覚が蘇ってくる。
少女は生まれて初めて、普通にセックスした。


それから暫くして、少女は2度目の妊娠をしていた。
いつの、誰の子なのかは、分からなかった。
店長は戸惑ったが、少女は父親は分からないと言う。
店長は店の女の子の名前を借りて、病院に付き添ってくれた。
そして、医者から2度と子どもはできないことを告げられた。

「なるみ」は、すぐに店でも上位のランクに入っていった。
他の女の子から、かなりの嫉妬をあび、嫌がらせなどもされたが、なるみは店長から目をかけられていたので、大きな事件はなかった。
少女はあの忌まわしい家・父から解放されて、以前よりもまともな暮らしができるようになり、ほっとしていた。あのままあそこに居たら…、父の借金のカタに、自分が何をされるか分かったものではなかった。
ここでこの生活をしている限り安全だった。

「なるみ」は店の大事な資本であり、生活も保証されていた。
店長は、時々少女をよびつけて、自分の相手をさせた。
少女は店長が嫌いではなかった。
少なくとも自分のことを大事にしてくれていたからだ。
色々なものを買ってくれたり、ごちそうしてくれたりしてくれた。
その店を、1年ちょっと続けた。
少女は16歳になった。

「はんん…。店長…気持ちいいですぅ…」
少女は男の下になり、突かれるがままにまかせていた。
「なるみ、お前の中は本当にすごいぞ…」
鍛えられた店長の体は、なるみの体を自由に操っていく。
「あぅ…んはぁあ…っ…あ…ああんっ…」
小さかった乳房は年齢とは不釣合いなほど、豊かになっていた。
男の動きに合わせて、なるみの乳房が揺れる。
少女自身は、奥深くまで男性のものを飲み込む。
「あっ!…ああんん!」

「なるみ」の評判は、他店にも流れた。
系列で、イメクラの店舗を展開することになった。
そこの看板として、来ないかということを誘われたのだ。
「本番がOKなら、かなりの収入になるけど、どうする…?」
店長直々に、話しが伝えられた。
「あまり、こだわらないですけど…、別にエッチしてもいいですよ…」
少女は、男性のものばかりを相手にするのに少し飽きていた。
店長が自分を行かせたくないようだったが、誰かから行かせるように
プレッシャーを与えられていることも分かっていた。
「本番もOK,雑誌にも顔出しOK,そしてとびきりの美少女」
となれば、風俗店が目をつけないわけがなかった。
少女は破格のギャラで、店を移動することになった。
店長にもかなりのお金がいったようだが、それでも店長は浮かない顔をしていた。
店長は少女に、セックスの快感を教え込んでいた。
少女は、貞操観念がすっかり欠落してしまった。
今となっては自らセックスを楽しんでいたのだ。


今彼女が受けとめるものは、かつての忌まわしく犯されたセックスとは、全く違うものだった。
そういう思いは、もうしたくなかった。
少女にとってもはやセックスはタブーではなく、風俗に身を投じることによって世の中の自分を狙う視線から、堂々と外れることができたのだ。
店長と別れるのは少し寂しかったが、少女にとって彼は店長以上でも以下でもなかった。


イメクラは自分の知らない世界をお客さんから要求されるので、少女は楽しかった。少女はお客さんに気さくに接し、話をし、奉仕をした。
少女は、時間を味方につけているかのように、時が経つ毎に美しく成長した。
イメクラに移動し、1年もしないうちに「なるみ」は仕事を選べるようになっていた。
17歳の誕生日を迎えるころには、風俗の中でもトップの有名人になった。

少女は年齢を18歳と偽っていた。
誕生日も、名前も、年齢も、すべて偽っていた。
過去の自分は、忘れてしまいたかった。
「なるみ」が彼女の全てだった。

 

   

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