泳ぐ女 STORY Message LINK

キスが止まらない
 
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5.委ねる

あれから2回、しおりとはそんな感じだった。
オレはあいつに言われるまま、ただあいつに触られて、一方的にイかされていた。

「なあ、いい加減触らせろよ」
「なんで」
「なんでじゃねーだろ…」

今、新築の家の、ひよりの部屋のベッドにオレは座っている。
そしてなぜかひよりは側に立っていて、その心情を体現するかのように、オレを見下している。

「お前ばっか、好きなようにしてるじゃん。たまにはオレの好きなようにさせろ」
「嫌よ。元春でも知ってるわよね?強姦って犯罪よ」
「この期に及んでお前がそう言う?お前がしてる事は強姦じゃねーのかよ」
「へ~、嫌だったんだ?別に、元春が嫌ならもうああいう事、しないけど。それが望みなの?」
「う………」

こいつの物言いにはいつも腹が立つ。
趣味の良いとは言えない眼鏡越しに、オレをバカにするみたいな視線もムカつく。

「せめて隣に座るとかすれば」
「イヤ。元春は信用できない」
「あのな、いい加減信用しろよ、オレお前の嫌がる事なんもしてないだろ」
「そう言えばそうね」

そう言うとひよりはオレの横へ座った。
その距離が思いがけず近くて、座れと言ったオレの方がビビる。

「彼女いるくせに、うちに来てあんな事するなんて、元春って最低だね」
「…一緒になってるお前も同罪だろ」
オレが軽く睨むと、ひよりは珍しく困った顔をする。
「…こういう事、普通は彼女とするんじゃないの?」
「何?もしかしてお前、オレの彼女になりたいわけ?」
言葉にしてみて、オレはこいつを彼女にしたいのか?と、改めて自問した。
「全然」
ひよりは即答だった。

「ただ、ひたすら彼女に同情するよ」
「……」
「“元春”の彼女なんて、その女の子が可哀想」
「…んだよ」
(これって、オレ、超バカにされてるよな)
「言いたい事があるなら、ハッキリ言えよ」
「う~ん」
ひよりはため息と一緒に、伸びをする。
「私と色々したいなら、まず彼女と別れなよ」
「は?お前と付き合えって事?」
「そうじゃなくて、誰かの彼氏とこんな事するなんて、なんか揉めそうで嫌よ」
「……」
オレはちょっと考える。
元々オレは女の子に執着しないタイプだ。
ひよりが現れる前から今の彼女とは微妙な感じで、こうしてひよりと会っている事に罪悪感さえ感じていなかった。
要するに、今の彼女とはもう潮時だったのだ。

「…別れたら、いいのかよ?」
「ヤるかヤらないかって話なら、ヤらないから」
「じゃあ今と変わんねえじゃん」
思い切り期待したオレは、あからさまに落胆した。
ひよりは楽しそうに笑う。
オレってやっぱり完全にバカにされている。

「まあ、それでも脱いだら、今日はキスしてあげるよ」
「…なんだよ。それ。お前、彼女どうこうとか、今言った事と全然違う事言ってるじゃん。 それになんでオレがお前より立場が下なんだよ」
「ふうん…、じゃあする事もないし、もう帰ったら?」
ひよりは立ち上がると、すぐにドアの方へ向かう。
「ほら」
そしてドアを開けた。

スタイルが良いとは言い難いひよりの全身を、オレは上から下まで見る。
だけど触ったら柔らかそうだなとオレは思う。
ひよりに触りたかった。
だがオレはひよりの唇の感触しか知らない。
「帰らないの?」
ひよりが薄く笑う。
オレの事をこうやって もてあそんで、いつも楽しんでいるのだ。
からかわれているのも分かっていたし、見くびられているのも分かる。
それでもオレは。

「ちょっとぐらい触らせろよ」
「いいよ、元春がちゃんと言う事聞いたらね」
「マジで」
意外な返答に、オレのテンションはいきなり上がる。
そして既にこの部屋へ入ってきた時から、オレは勃起し続けている。



「うっ…」

誰かに見られたら死にたくなるような姿だった。
なんでひよりがそれを持っているのか謎だったが、変なSMの拘束具みたいなものでオレは両手首をベッドの上の方に繋がれた。
女子がしたらユルユルであろうそれはオレが使うとギチギチで、自分では外せない。
この状態では、オレは完全にひよりの思うままだ。

おまけに、いつも通り、…オレだけ全裸だ。
さすがに気付いていたが、ひよりは絶対Sだ。

「うん……」
ひよりがオレにキスしてくれる。
(やべえ、無意識に「してくれる」とか思ってた…)
こうやってひよりとの時間を重ねて行く度、オレはあいつにコントロールされてしまう。

(でもキスは気持ちいい…)
多分、相性なんだろう。
ひよりの唇と、オレの唇が合わさった時の感触がたまらない。
お互いにペタリとひっつくために、オレたちの唇が存在するんじゃないかと思う。
「んん…」
せめてもの抵抗で、オレはひよりの口に舌を入れる。
キスの主導権を持ちたかったオレの薄い希望を砕くように、ひよりはオレの舌を優しく吸ってくれる。
(ああ……)
ヤバい。
『うっとり』している自分がいる。

両手首を固定され、全裸でいるオレは既に羞恥心など飛んでいるのだが、それでもキスに没頭していく自分が恥ずかしい。
「ひより……、すげえ…」
思わず口に出る。
キスだけなのに、今までしたどんなセックスより全然良かった。
「ふふっ…」
ひよりはオレの頬を触る。

「元春のそういう可愛いところ、好き」

ひよりが言う『好き』という言葉に反応して、オレのそこが固さを増して揺れた。
「ここも可愛い…」
ひよりはオレのそこをじっと見る。

見られているだけの時間は、ほんの1~2分、もしかしたら数秒だったかも知れない。
それでもオレには長い時間に感じられた。

「もう、何とか、しろよ…」
「いいじゃない。見せてよ」
ひよりは体を離して、オレの体をただ見ている。
「本当にキレイだね、元春の体…」
(そういうのいいから…)
触れて欲しくてたまらなくなっているその部分に、オレの意識は集中していた。

ひよりの手が、オレの膝に触れる。
「おい、何だよ」
彼女の手に力が入り、膝を立てられる。
女がセックスを受け入れるような姿勢に、オレは近づいて行く。

「足、開いて欲しいんだけど」
「は?」
オレは思わず身をよじる。
「ダメダメ、元春は力が強いんだから、ちゃんと自分から足開いて」
(何?何だよ?)
ひよりの手に促されるまま、オレは自分の足を開く。
ひよりはオレの足の間、普通のセックスなら完全に男側の位置にいた。

「やっぱり、これじゃやりにくいかなあ~」

オレは両手を1つに拘束されていた。
「ちょっと裏返って」
「ええ?」
何が何だか分からないまま、オレは裏返される。
手がこれで、ベッドにうつぶせの状態は辛くて、オレは肘をついて肩を上げる。
「うっ…」
背中にひよりの唇が触れた。
「それ、ダメだ。くすぐったい」
そんなオレの反応を楽しむように、ひよりはオレの背中を何度も触る。

「お尻上げてよ」
ひよりはオレの腰を引っ張る。
オレは完全に彼女の言いなりで、渋々膝をついて腰を上げる。
四つん這いってやつだ。
(ホントに犬みたいじゃん、オレ…)
自分が情けなくなってくる。
それでもひよりが触ってくれるという欲望に負けて、言う事を聞いてしまう。

「うっ…!!」
唐突にひよりの舌が触れる。
そこは後ろの穴だ。
「何だよ、…何すんだよ…」
「舐めてあげるんだから、あんたはただ気持ち良くなってればいいのよ」
そう言ってひよりはさらに舌をそこへ這わす。
そんなところを舐められた事は無かった。
(ああ、でも何かヤバイ…)
ひよりのキスは、オレにとっては催淫そのものだ。
唇にキスされれば、頭がぼうっとしてしまうし、ペニスに触れられれば即行だ。
その唇が、オレのアナに…。

「はあっ……うんっ…」
いつの間にか、声を我慢するのに必死になっているぐらい、感じていた。
頭を体の方へ向けて自分の足の間を見ると、勃起したその先から透明な液体が出ていて、糸を垂らすみたいに下へ流れていた。
こんなにも強く射精したい欲求を堪えた事は、無い。

「ひより、もうイかせてよ…頼む…」
オレは声を絞り出した。
アナから感じるひよりの舌の動く感触が、たまらない。

「ああっ…!」

女子みたいに、普通に声を出してしまった。
ひよりの手が、オレのペニスをこする。
ひよりの舌が、オレのアナルを舐める。
「ああっ、あっ…あっ…」
イきたくてたまらなかったオレは、ひよりがくれる刺激を待ち望んでいた。
それを受け入れるのに集中して、声が抑えられない。

「ひより、ヤバい、イクっ、…あっ、あぁっ…!」

しばらくして冷静になって気付いたのだが、オレはよだれまで垂らしていた。



「ホントにこうしてると、可愛いよね~元春は」
体を元に戻されて、オレはひよりにキスされまくっていた。
ひよりがするキスはどんなキスでも気持ちが良くて、オレはされるがままになる。
色々恥ずかしかったが、もうどうでも良かった。
キスが途切れた時、オレは言った。
「なあ、別にオレはお前が彼女になってくれても、全然いいんだけど」
「ええ~、そもそも元春ってさ、私に恋愛感情ってあるの?」
「オレ、実はそういうのよく分かんねえ。今までは来るもの拒まずだったし」
「その薄っぺらさが、あんたらしいよね」
そしてひよりはまたオレにキスした。

キスだけを切り取ったら、濃厚で甘いキスだと思う。
しかしオレは相変わらず両手を頭の上で拘束されていて、おまけに全裸だ。
ひよりはガッツリと服を着ている。
どう見ても、恋人同士の場面ではない。

「やっぱり元春の彼女にはなりたくないな」
「……」
ひよりと言えども女の子にハッキリと拒絶されて、オレはちょっとへこんだ。

「なあ、いい加減、これ外せよ」
「ああ…なんだ、元春こういうの喜んでるのかと思ってた」
「喜ぶかよ」
オレは真剣に嫌がった。
しかしあの、身を任せきる感じってヤバイなと思う。
あれは恥ずかしさと相まって、快感に没頭してしまう。
(って、オレ、ヤバイって)
やっと手枷が外れて、両手が自由になる。
「ああ、キツかった…」
「ごめん、痛かった?」
「痛くねーけど、なんかしんどい」
「手、見せて」
ひよりがオレの両手を取る。
ベッドに座った状態で、相変わらず距離が近い。

「ひより…」
オレは普通にひよりにキスした。
ずっとそうしたかったから、彼女を両手で抱き寄せる。
特に抵抗もせず、ひよりはオレに抱きしめられるままだった。
キスはすごくいい。と言うか、良すぎる。
現実じゃないどこかの世界で変な術にかけられて、オレはひよりに縛られているんじゃないかとさえ思う。

「また勃ってるね」
ひよりがオレのそれを見る。
「しょうがないだろ」
「いつも勃ってるよね」
「しょうがねーだろ」
「じゃあしょうがないから、してあげる」

ひよりはベッドから降りて、ベッドに腰をかけているオレの足の間にひざまづく。
「あぁっ……」
オレは背中をのけぞらせた。
ひよりはいきなり唇を先端につけ、そこから一気に自分の口へオレのものを挿入した。
まさに、挿入という表現がピッタリの動きだった。

オレのそれは少し大きくて、これまで付き合った女の子たちは結構フェラチオを嫌がった。
それなのに、ひよりはオレのその頭の部分をしっかりと咥えて、くびれに引っ掛かるように唇を当ててくれる。
その絶妙な動きで、ひよりはオレの新しい性感帯を発掘していく。
「うぅっ…うあ…」
さっきあんなに声を出したのに、やっぱり恥ずかしい。
咥えられながら、手でもしっかりと擦られて、あっという間にオレはイきたくなってくる。

(ああ、すげーわ…。こいつ…)

あまりに気持ちが良すぎて、座っているのに腰が砕けそうだ。
色々考えるのもバカバカしくなってきて、オレは理性まで快感に委ねた。
自由になった手で、彼女の髪を撫でる。
その髪の感触でさえ、ひよりと触れた事を実感できて、オレはもっと興奮した。

 

   

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