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キスが止まらない
 
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4.あいつに、されるがまま

オレの視界に入るのは、オレの股間に顔をうずめ、動く彼女の頭。
茶色い髪が、その動きに合わせて揺れる。

「はあ……」

確かに気持ちはいい。
だけど違う。ひよりじゃないんだ。
「もう入れたい」
「うん」
彼女はベッドに横になり、薄く足を開きオレを待つ。
オレは彼女に覆いかぶさり、それを彼女に突っ込む。

セックスしながら、キスした。
「あん、…元春っ…」
少し苦しそうにも聞こえる彼女の声は、オレの興奮を少しだけ高める。
だがその興奮の絶対値はそんなに高くない。



「あーあ……」

ひよりとあんな事があった後にする彼女とのセックスは、やっぱりそんなに良くなかった。
今までどうしてそれで満足できていたのかと、思うぐらいだ。
「もう、今の彼女とも潮時なのかもな…」
向こうから告られて付き合い始めた。元々好きだったわけじゃない。
だけど嫌いだったわけじゃなくて、可愛いから付き合い始めたわけだし、一緒にいるのも楽しかったし、結構好きだった。
でも、『結構好き』なだけだ。

先日、オレの部屋に来たひより。
オレはあいつの好きなようにされた気がする。
何だかスゲー恥ずかしかった。
(あいつ、Sっぽいよな…)
すごく興奮してしまった。
あいつとそういう感じだった、中学の時よりもずっと興奮した。
あいつと久々にそうなったからなのか。
縛られて動けなかったからなのか。
「オレ、Mじゃねえし!」
ムキになって、自分自身を否定した。
だが今だって、ひよりとの事を思い出して、オレは勃起してる。
さっき彼女とした時よりもずっと、ひよりの事を想像して、オレは固くなってる。
ひよりの事ばかり考えていた。
好きなのかと言われたら、…微妙なとこだと思う。
だけどハッキリ分かるのは、普通の恋愛感情じゃないって事だ。
オレはあいつのキスとか、あいつがしてくれる事は好きだが、あいつ自身は全然好みのタイプじゃなかった。
(何なんだよ…)
考えると、ムカついてくる。
ムカつくのに、体は反応していた。



「あ」
昇降口で、オレの顔を見たひよりは一言そう言った。
「よお…」
オレがどう接しようか戸惑っているうちに、あいつは顔色も変えずに去ってしまった。
(そうそう、ああいう奴なんだよな…)
クラスが離れているから、オレとあいつはほとんど顔を合わせる機会が無い。
オレは仕方なく、ひよりにメールした。

『またうちに来いよ』
そう打ったオレのメールに対するひよりの返事は、
『なんで』
だった。
(そう、こういう奴だよ……)
『とにかく、今日来いよ。オレ家にいるから』
オレはそう返した。
ひよりから返事は来なかった。


自分の家に着き、オレは即シャワーを浴びた。
まさに下心の固まり。
髪まで洗い、即行で乾かして、さっぱりした状態で自分の部屋に戻る。
スマホでゲームでもしようかと思ったが、手に付かなかった。
ひよりが来るとは思えなかったが、なぜかオレは期待していた。
このまま期待して、そして夜になり、ひよりから何の連絡もないまま明日の朝になるのが、現実的なとこだろう。
5時半を過ぎてた。家の呼び鈴が鳴る。
ドアを開けると、制服のままのひよりが立っていた。
「何なのよ、もう…」
その表情は、相変わらず不機嫌だった。
でもオレの、本能に近い部分が感じ取る。
ひよりも期待している。
オレはひよりを部屋に入れた。

「いきなり押し倒したりしたら、もう絶交だからね」
「んーな事、しねーよ」
『絶交』という言い回しが、子供っぽいなとオレは思う。
でもまかり間違って、もしオレが押し倒しでもしたら、ひよりは有言実行だろう。
オレは気を引き締めた。
こうして改めて見るひよりは、やっぱり地味で、教室にいる他の女と比べても女として特に目立つ所は無い。むしろ、もっと可愛らしくしたらいいのにと思うぐらいだ。
それなのに、オレはこの黒い髪の地味な女に、もうドキドキさせられている。

「元春」
「何?」
なぜかオレはひよりの行動にビクついてしまう。
オレは色々したいのに、オレを拒絶するようなひよりの言動。
「中学の時、キスする時にしてた約束、覚えてる?」
「ああ……」
ひよりはいつも、絶対自分に触るなと言っていた。
オレはそれを忠実に守り、そのおかげでひよりに気持ち良くしてもらっていた。
「覚えてるよ。触るなってやつだろ?」
オレは言った。
「約束守れるなら…、キスしたりしてもいいけど」
「……守るよ」
そういうオレの喉が鳴る。
動悸の激しさの勢いのまま、期待が体中を巡る。
オレとひよりの関係なんて、いつもこんな感じで。
いつも余計な事が無い。
すげえシンプルな関係。

「ねえ、脱いでよ。元春」
「は?」
「また裸が見たい。元春の全裸が見たいよ」
「ええ…」
中学の時、同じ事をしたのを思い出す。
あれはすごい恥ずかしくて、だけどオレはひよりのキスの誘惑に負けてそうしたんだった。
4年も経ったのに、また脱ぐのか?
「オ…、オレなんかの、裸…なんで見たいんだよ?」
「元春の体、キレイだよ」
「え…」
想像もしていなかった事を言われて、オレは言葉を失う。
「キレイなものを見るのは、好き」
「……」

ひよりは真っ直ぐにオレを見ていた。
欲情とも違う、そう、好奇心に溢れた目だった。
「ねえ、脱いでよ」
「………」
オレはひよりの視線を強烈に感じながら、仕方なくTシャツから脱いだ。
女が色々と恥ずかしがる気持ちが、何となく分かる。
こんな目で見られたら、それは恥ずかしいだろう。
「マジで、全部脱ぐのかよ」
「うん、見たい」
「…しょうがねえなあ…」
さすがにパンツを脱いだ時は、めっちゃ恥ずかしかった。
それでも脱いでしまえば、なぜか開き直れた。

「元春、体、すごくキレイだね」
珍しすぎる、ひよりの口から出るオレを褒める言葉。
「別に…、普通だろ」
「ねえ、いつも元春、勃ってるよね」
「………うるせえ」
オレは目をそらした。
穴があくんじゃないかと思うぐらい、全身にひよりの熱視線を感じた。
「いいよ。座って、そこ」
ひよりはベッドを指す。
オレは素直にその言葉に従った。
オレを見るひよりは、嬉しそうだった。
ふだん見せない、ひよりのそんな顔が、オレを余計に興奮させる。
「ねえ、手、ちゃんとベッドに置いておいてよ。動かしたらダメだからね」
「ああ……」
おれは頷いた。
ひよりが近づいてくる。
オレの興奮が高まる。多分、裸だから余計に。

ひよりの両手が、オレの頬に触れた。
ひよりが目を閉じていたから、オレも目を閉じた。
唇が触れる。
(ああ……)
もう既に勃起しているのに、もっと自分が大きくなったのが分かった。
(柔らかい……)
でも、柔らかいだけじゃない。
オレの唇に、自然にひよりの唇が吸いついてくる。
水が膜に覆われたような、その感触。

「はあっ……」

唇が離れた瞬間、オレは息を吐いた。
(なんでこんなに良いんだよ……)
良すぎて、嫌になってくる。
良すぎて、ひよりの事が少し憎くなってくる。

「元春の、おっぱい……」

ひよりがオレの乳首を舐めた。
「うっ…!」
オレは思わず声を出してしまう。
ひよりは唇で吸いつき、オレの乳首を口の中で転がす。
空いている方の乳首も、ひよりの右手が弄りだした。
「あっ…、うぁ…」
声をガマンしたいのに、漏れてしまう。
オレは本当に恥ずかしくなってくる。
そして余計に興奮してしまう。

乳首から首筋まで、ひよりの舌が上がってくる。
オレは背中までゾクゾクして、首が震えた。
「や……、やべえよ、それは…」
ひよりがオレの耳を甘噛みする。
「やめろ…、おい…」
「感じてるんでしょう…、元春」
耳元でささやかれて、オレは思わず体を引いた。
ひよりと目が合う。
「元春って、感じやすいんだね」
「別に」
「ふうん」
ひよりの両手がオレの乳首に伸びる。
触る指の感触まで絶妙で、オレはこいつに何をされてもヤバいと思った。
「うぅっ……」
「いいよ、元春、声出して?」
ひよりが、オレの乳首を強く摘まんだ。
「うあっ…!」
思わず声が出てしまった。
ひよりはオレの乳首を親指と中指で摘まんだまま、その先を人差し指で弄る。それも両方だ。
「や、やめろ…」
「いいんでしょ?」
キュっとされて、先を優しく撫でられる。
これは、ダメだ。
「ひより…」
オレは思わず手を上げて、ひよりの腕を掴んでやめさせようとした。
「ダメ!手はそこから離さないで!」
強い口調で言われ、『触らない』と約束させられた事を改めて思い出す。
オレは全裸のまま、こいつにやられたい放題だ。

「ね、見て…。元春のあそこ、すごい濡れてるよ」
「………」
自分の勃起したそこから、少し見ただけで分かるほど汁が滲み出ていた。

「キスだけで、イケたらいいのにね」

そしてひよりは唇を合せてきた。
相変わらず乳首を弄られたままで、口の中にはひよりの舌が入って来る。
(ああ、スゲー気持ちいい……やべえ…)
ベッドに座り、腰の両側に手をついたままの無防備な状態で、オレはひよりがしてくる事を受け入れる。
「うぅっ…!」
ひよりが、さっきから超勃起しているオレのそこを触った。
それも、手のひらで撫でるだけの、やり方で。
「はぁっ……、もう…、イカせてくれよ…」
オレは懇願してしまう。
虚栄とか、プライドとか、そんな事を気にできないぐらい切羽詰って来ていた。
何でもいいから、とにかく出したくてたまらなかった。

「すっごい、元春のここ……」
ひよりは手のひらだけで、オレのそれをただ上下に撫でた。
オレはしっかり掴んで欲しくて、思わず腰が浮いた。
「こんなちょっとしか触らないでも、イクのかな?」
「……なあ、ちゃんと…してよ…。なあ、ひより…ん、うぅっ…」
ひよりがまたオレの乳首の愛撫を再開する。
あっちの方は緩い手つきのまま、ただそっと撫でているだけだ。

(ああ…やべえ……。辛い……)

気持ちがいいのに、肝心な部分の刺激が弱すぎて辛かった。
興奮し過ぎるぐらいしているその場所は、自分でも分かるほどビクビクしている。
焦れすぎて、腰が震えた。
(いい加減にしてくれよ…もう…)

「はぁっ……、うぅっ…!」

ほとんど刺激されないままの状態で、オレはイってしまった。

 

 

   

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