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心に薔薇の赤、両手に棘を
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7.クリスマス

次の日の夕方、泉はアキラとの待ち合わせ場所に向かっていた。
昨日よりいくらかラフな白い薄手のタートルニットに黒いスカートという服装にした。
上にはベージュのコートを羽織る。
例年よりも暖かいクリスマスだった。
街はケーキの露店や、派手な音楽で賑わっていた。

15分遅れでアキラが走ってきた。
「悪い。……道すごい混んでてさ。ちょっと車とめてきた…。待ったよな?」
「ううん…」

泉はアキラと並んで、カップルで混雑した街を歩く。
アキラは髪を短く切っていた。
「髪、切ったね。それも似合う似合う!」
「ちょっと、気合い入れてきた」
ちょうど耳にかかるくらいの長さで緩いウェーブがある今のスタイルは、以前の彼より少年っぽく見える。
それがアキラの色気をさらに強調した。
「軽くメシ食ってー、ちょっと飲みに行こーか」
歩きながらアキラは泉の肩を抱いた。
アキラの肩の高さが、ちょうど泉の身長ぐらいだ。

気取らない夕食をとって、予約してあるというホテルのバーに行くことになった。

(今日、泊まることになってたんだよね……何だかドキドキしちゃう…)

アキラはトオルと比べると、少し大人びていた。
自分よりも年下なのに、泉は自然とリードされてしまう。
彼はきっと昔からそういった性質なのだろう。
「二人で一緒にいるのって…。この前偶然会って以来だね」
グラスを置いて泉は言った。
隣のアキラは黙ったまま、泉の方に手を伸ばす。
泉は少し驚いて体を固くした。
アキラは泉の髪の先の方を触る。
その髪の束を泉の顔の前の方へ持ってきて、遊び始めた。
ただそれだけのことで、泉の心臓は激しく波打つ。
暗い店内で、テーブルに揺らぐ光が二人を照らしている。
オレンジ色に見えるアキラの肌。
こちらを見る彼の目の思いがけない優しさに、なぜか泉は切なくなってしまう。

アキラがどういう人間なのか、泉は分かりかねていた。
一見遊び人風だが、本質的にまじめにも見える。
泉に対してもいつも冷静で、この関係のことも割りきっているようだ。
「アキラは普段何をしてるの?」
「ん?」
実際に泉がアキラと会うのは、多くても月に2回位だった。

「特定の女の子と付き合おうとは、思ってないの?」
「…今はな。けっこう色々と忙しいし」

3人で会う予定のときも、アキラは急に都合が悪くなったりすることがあった。
「バイトとか?」
「それもしてるしな……。どっかの超ボンボンとは違ってな」
アキラは可笑しそうに言った。
トオルのことだと泉は思う。
「学校もけっこう忙しいしな……オレ留年とか、回り道あんまりしたくないんだ」
「ふうん……そうだ…アキラって将来何をするの?」
「え?医者…って、知らなかったけ?」
「それは前に聞いたけど…何のお医者さん?」
「動物」
アキラは真顔で言った。
「うそお…」
「嘘だよ」
楽しそうにアキラは笑う。
3人で会いセックスをしている時の彼とは、全く別の表情だ。

「オレの将来に興味があるの?」

「…。そうじゃなくて…、アキラのことがちょっとでも知りたかっただけ」
何だか恥ずかしくなって、泉はアキラから目をそらした。


ほろ酔いで、アキラが予約していた部屋に二人で入った。
「あ、ダブルベットだ……」
ベッドを目の前にして、泉は緊張した。
何度も抱かれているのに、二人きりでこうなるのは今日が初めてだった。
顔を上げると、アキラと目が合う。
「泉……今日はどういう風にして欲しい?」
アキラがニヤニヤしながら言った。
「………優しくして」
泉は笑って答えた。


「あうっ、…あんっ、あっ、んあ、ああっ…」

泉は四つん這いで、腰に打ち付けられる激しい衝撃に耐えていた。
後ろからお尻を持ち上げられて挿入されているので、泉の性器全体にアキラのものが当たってしまう。
「は、あうっ、あ、あ、あんっ…」
アキラは泉の尻のあたりを手で軽く押さえて、彼女の体を自由にしながら自分の腰を動かした。
泉の感じ方に合わせてゆっくりしたり早くしたりと、動きに強弱をつける。
「あ!、あああ、あっ、あああ…」
(どうして、こんなに気持ちがいいの……)
泉の顔は汗ばみ、髪の毛が首に幾筋も貼りついていた。
アキラが腰を引くと、彼女の中から自分のものが出てくるのが見える。
自らの大きなペニスが細い腰の泉の中にまた埋められていくその姿に、アキラも興奮した。

「いっ、…いいぃぃ…アキラぁっ…あああん…」

泉は泣き声のような声をあげた。

アキラは泉の体内の性感帯を知り尽くしているかのように、確実に彼女を追い込んでいく。

「ああんっ、すごっ……あん…ああっ…」
泉は自分を抑えられなくなっていく。
体中が快楽に呑まれていく。
突かれるたびに体内の壁が強く擦られる。

(ああ…よすぎちゃう…あああ…すごい…)

アキラは泉の体をひっくり返し仰向けに戻すと、腰のあたりを持ち上げながら再び挿入した。
腰を持ち上げられると、泉の深くまでアキラのものが届いてしまう。
「んあっ………あぁぁーっ」
奥へと直接響くその振動とともに、鳥肌が立つほどの快感で全身が震えた。
「あん、あんっ、あ、あっ、んああっ…」
泉は花弁のような肉でアキラを包み込む。
アキラが引くと、ペニスに付いた大量の汁が外へ零れる。
太いそれを押し込むと、今度は内部からの愛液が溢れ出てきた。
その動きを繰り返しているので、泉とアキラの繋がった部分がどんどんとグシャグシャになっていく。

(感じちゃうっ……気持ちいい…いいっ…ああっ…)

感じてくると泉の膣は、どんどん締まりを増してくる。
しかし際限なく彼女から溢れてくる潤滑剤のおかげで、その場所はアキラにも強い快感を与えていく。
泉の体は、アキラを吸い込んでしまいそうだった。
(くっ……相変わらず、よく締まる…)
アキラは自分自身を抑えながら、泉を責めた。

泉の方はもう限界の1歩手前だった。
(だめ…も…う…)
「はあっ、あ、あ、あ、…」
瞬間体がふわっと持ちあがるような感覚に包まれ、頭が真っ白になる。
「あああああ…、い…、イっ、ちゃうう…」
泉は体全体をビクビクと震わせた。
アキラの動きが早まる。
大きな絶頂を迎えようとして、泉の内は更に力む。

「ああー…はああぁぁーーーんっ!…」

快楽に歪んだ泉の顔は、汗でグッショリと濡れていた。


アキラは動きを止め、抜かずに泉の体を抱き起こす。
泉はぐったりしていて、支えるアキラの腕にもその体重がいつもより重く感じられた。
イったばかりの泉の膣の中は、軽く収縮を繰り返していた。
泉は目をふせ、肩で大きく息をしている。
アキラは引き締まった腕で泉を抱きかかえ、泉の汗ではりついた髪を後ろに撫でてキスした。
泉はベッドに座ったアキラの上に跨る格好になり、お互いに抱き締め合う。
「は…あ…、アキラ…」
まだ甘い余韻の真っ只中にいる泉の表情は、とても色っぽかった。
(たまんねえな……この顔)
「泉…」
アキラは泉の口の中に自分の舌を入れて、泉の舌を愛撫した。
「んんん…」
濃厚なキス。
泉は、アキラが固さを増していくのを体内で感じた。
同時にアキラも、自分を包む泉自身の動きを感じる。
泉の内部はもうひとつの触手のように、男性を掴んでくる。

(ホントにすごいな…泉のここは…)

キスしながらアキラは考えていた。
(動かさなくても、出ちゃいそうだぜ…)
アキラは泉の両方の乳房を優しく揉む。
泉の乳房の感触は柔らかく、その先にある乳首は対照的に固くなっていた。

(ああ…気持ちいい…アキラ…)

アキラは自分に座らせたままで泉の両腕を後ろにつかせて、彼女の腰を浮かす格好にする。
泉は促されるままに従った。
そのままアキラは再び動き始める。

「はあっ…あんっ…」
アキラは泉を下から突き上げた。
泉の体にもまた新しい快感が生まれてくる。
体重をしっかりと両腕で支え、泉は自ら腰を浮かせて脚を開いてM字に曲げた。
この格好だと繋がっているその部分がアキラの方から丸見えになる。
ピンク色の花弁は高ぶることで赤く染まっていた。
愛液で貼りついた陰毛の下の赤い陰唇は汁にまみれ、その唇で太い肉の塊を貪っている。
(ああ……泉、いやらしいな…)
愛らしい顔が苦しげに歪む。
快楽に呑まれ始めると無意識に乱れていく彼女の姿は、男を魅了した。
交わる男は彼女のその姿に自らをますます怒張させる。
(くっ…また締まってきた…)
アキラは首を振って、気持ちを落ち着かせようとした。
(やべえ、もう限界かも…)

「ああっ、またイクっ…イクっ…ダメっ…!」
「泉っ…出すよっ…」

「きゃ…だ、めえ…も…イクぅっ……!」

アキラは泉の中に放出した。

ビクン、ビクン…

意識は朦朧としながらも、泉の肉体はアキラのペニスをしっかりと掴み、絶頂を貪り尽くしていた。
「うう……う…」
その乱れ方と可愛い顔とのアンバランスさが、アキラの心を捕らえる。
(すげえな、泉…)
アキラは泉のセックスに満足していた。

普段の泉は、清純な感じのキレイな女の子といった印象だ。
しかし服を脱ぐと、華奢でありながらボリュームのある『女』の体をしている。
実際に泉のそこは、名器といえるだろう。
二人の男が夢中になって、泉とのセックスに溺れるのも無理はなかった。
当の泉本人は彼らが彼女の肉体に夢中になっている事を、よく理解していないようだった。


(も、だめ…、体が溶けちゃいそう……)

完全に脱力して、泉はその部分を繋げたままベットへと崩れ落ちた。
泉の脚を抱きかかえると、アキラはそっと自分のものを抜いた。
ペニスで塞がれていた穴から、ゴボっと愛液が固まって零れ落ちてくる。
アキラはそのまま体を引き、ぐったりしている泉の太腿を開き、その場所を見る。
泉のそこはヒクヒクと震えていた。
ドロドロと流れてくる愛液とともに、アキラの白い精液が出てくる。
(はあ…たまんねえなあ、このビジュアル…)
泉のと自分が出したものが白濁して混ざり合い彼女の性器から溢れ出てくる様を、アキラは感慨を持って見た。

「泉…」
泉の頬をなでながらアキラは言った。
「すごいな…止まらないよ」
アキラは泉の手を彼女自身の性器にあてるように導く。
「や……うそ…」
手に触れた愛液のあまりの量に、泉はこれが自分の体だとは信じられなかった。
自分が緩まってしまった感じがする。
終ったというのに次々と溢れてきて、しばらくは収まりそうもなかった。
「こんなに…うそみたい…」
ふと、アキラが部屋の電気を点けた。
「んん……」
眩しくて、ベットの上の泉は目を細める。

黙ったまま、アキラは仰向けの泉の両膝を開いた。
「や…やあ…」
明るいままの部屋で、アキラに自分の恥ずかしいところを凝視される。

「やん…ねえ、見ないで、…いやっ!…」

「なんだよ、今更…」
薄笑みのアキラは彼女の両膝を抑える力を強め、ますます泉の脚を開く。
「すげえいやらしいよな…。おまえのここって…」
「やん…いやあ…恥ずかしいっ…」
泉は足の力が入らない。
彼にされるがまま脚が大きく開いてしまう。

(嫌……恥ずかしい…)

「どうして、こんなに何回もしてるのに、今更恥ずかしいんだよ」
「だって……イヤっ……」
汚れている自分のあそこを、明るい電気の下で彼に見られるのはやっぱり恥ずかしかった。
(こういう所が、可愛いんだよな…)
アキラはニヤニヤして、そんな泉の心を弄ぶように愛液にまみれた部分に指で触れた。
「あんっ」
「なんだよ、そんな声出して…また誘ってんのか?」
恥ずかしい姿を晒している全裸の泉を、アキラは上から下まで見た。
「違うっ……もうダメだから…ホントに」
「ウソつけ」
アキラは体を沈めると、唇で泉の性器に触れた。
「はあ!…ああっ」
泉の体がビクンと震える。
ソロソロと、アキラの舌先が泉の谷間をなぞっていく。
(ああ…また…気持ちよく…なっちゃうぅ…)
「泉の味がする……美味しいぜ」
アキラは泉からまだ大量に出てきている液体を舌先ですくった。
「や、…やぁん…」

じゅるっ…チュプッ……

音をたててアキラは泉の性器を吸った。
「だめっ、もう……アキラぁ…あ、あ、…ああん…」
アキラは彼女の脚を大きく開き持ち上げる。
足首を泉の顔のところまで持っていき、彼女自身の手でそれを掴ませる。
「ホントに、ダメだからっ……アキラっ」
口で否定しながらも、泉は素直に自分の足首を手で持ち、膝までしっかりと自ら抱え込む。
泉の体は完全に腰が浮いて、彼女自身からも開いた性器が丸見えになる。
「しっかり、持つんだぜ」
アキラは固い口調で言った。
もう泉は抵抗できない。
「ホラ、見とけよ」
アキラの右手の指が2本、ゆっくりと泉へ挿し込まれていく。

「ううぅっ……」
何度見ても自分の性器はいやらしいと、泉は思う。
彼らの体の色んな部分を飲み込むその場所。

「んああっ!!」

指が全て入ってしまうと、アキラは内部を思い切り混ぜた。
「ああっ!ああっ!…あっ!ああぁっ!」
泉は手が緩んで掴んだ足を離しそうになってしまう。
「ダメだぜ、ちゃんと持て」
アキラは泉の太腿を押さえ、足が戻らないように力を入れた。

グブグブッ、グブッ、グブッ…

液体を混ぜるような低い音が、大きく響く。
「うあ、ああっ!ああっ!」
(ダメ、ダメ…!ダメっ……!何?この、感じ…っ)
アキラは容赦なく泉の膣壁を擦る。
グブ、グブッ、チョブッ、グブッ、グブッ、グチャッ…
激しいその指の動きに、肉と水と空気が混ざり合う音が更に大きくなる。

(ああ、何?何?…この感じっ…?!)

経験したことのない感覚だった。
純粋な快感とはまた違う、強制的に体内を搾られる感じ。
(イヤ….…変、…ダメっ…ダメ!)
アキラは泉を混ぜる指を緩めない。
(出ちゃう……出ちゃうっ……!)

「ああああっ、いやぁぁぁぁーーーっ!」

バシャバシャという音とともに、泉の体に水が落ちてくる。
「ああ!ああっ…ああっ!」
飛沫が泉の顔までかかった。
「……はあ、ああ…はあ…」

(やっぱり、簡単に出ちゃったな…)
アキラは肘まで濡れた手を、泉から抜いた。
「ああ……ああ……」
目を閉じて顔を歪ませる泉はグッタリして放心していた。
足や体中に自分の出した水を浴びていた。
「大丈夫か?……泉?」
タオルを持ってきて、アキラは泉の体を拭う。
泉の吹いた潮は、かなりの量だった。
「はあ、はあ……はあ…」
(何が起きたの…?)
泉は自分が何をしたのか分からなかった。
あの水は、自分から出たような気がする。
「あたし……」
やっと目を開けて、アキラを見た。
「いっぱい吹いちゃったな」
「ああ……」
やっぱり、と泉は思う。
「泉があんまり溢れてるからさ、多分すぐ出ると思ったけど……思った以上に出たな」
「ああ……いやんっ…」
恥ずかしくて泉はまた目を閉じた。

「悪いな、泉」
「え……?何が…」

泉が言い終わらないうちに、濡れていないシーツの方へ体をアキラに引っ張られた。
(えっ……ウソ…)
正常位の形で泉は脚を開かれる。
「えっ……やぁぁんっ!」
またアキラのものが自分に入ってきた。
既に普通の状態でなくなった泉の膣に、アキラは手加減なく突き立ててくる。

「あっ…あっ!…ダメ、……もっ…ホントにっ…」

泉へと打ち付けられる音と、喘ぐ彼女の声が部屋に響いた。
挿入された始めの方こそ泉は嫌がっていたが、幾度となく繰り返される振動に次第に性感が甦ってくる。
泉は何が何だか分からなくなってきていた。
「うっ、うっ…、うっ……、あっ…」
何度も何度も体の中に電撃のようなものが駆け抜け、前後不覚になっていく。
(もう何も考えられない…)
「うぅっ、あぁ、うぁ…、うぅぅっ…」
人形のように、ただ、アキラに突き動かされる。
泉の体からはすっかり力が抜け、唯一繋がったその部分でアキラの動きを受け止めていた。
それでも肉体は自らの内で快楽を追い求め、それを集めて高みへと登ろうとしてしまう。

(ああ……イク…イっちゃう…)

朦朧とする意識の中で、ただただ甘い痺れだけが泉の体を支配する。
ぐったりした泉の口からは涎が流れ、目は涙が溢れていた。
アキラは泉の涙を舐めた。
泉は、体内でアキラのものが自分と混ざっていくのを感じていた。



どれぐらいの時間そうしていたのか、もう泉には分からなかった。
繋がったままグッタリと抱き合っていた。
そしてアキラは泉の中で再生する。

――― アキラは、泉の体をまた揺らす。


(ああ……)

泉は白く輝いている感じに包まれていく。
きっと体がゼリーみたいに溶けてしまうんだろう。
意識の奥でそんなことを考えていた。
アキラとつながったままもう何時間が過ぎたんだろう。

(ああ、……また…イっちゃう…)

光が見えてくる。
もう溶けているかもしれないと、泉は思った。

アキラは泉を抱き上げ、体の上に乗せた。
泉は体重を完全に彼に預け、腕を彼の脇へ落とす。
温かいものが、体の中に注がれているのを感じた。

泉とアキラは一晩中、繋がったまま離れなかった。


…聖なる夜、白く溶けたのはアキラの方かも知れない。

 

   

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