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心に薔薇の赤、両手に棘を
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3.天使

アキラのゴルフが、泉の家の少し手前に到着した。

「……送ってくれてありがとう」
「泉…、また来週な」
アキラは微笑みながら車を出した。
前回と同様に、その姿は普通の恋人か友人のように見える。

(あたし……あたし……)

自分の部屋に入ると、さっきまでのことがやはり現実ではなかったような気になってくる。
(あたし…一体、何してるんだろう…)
そのままベットに倒れこむと、すぐに泉は眠ってしまった。



「聞いてる?泉?」
「……あ、え?……ごめん」
蓉子はじっと泉を見つめた。
「最近、なんかぼーっとしてない?」
「そうかも…。ちょっと夏バテの走りかな?」
「まだ6月じゃない…。大丈夫?」
心配そうに、蓉子は言う。
「平気…。ごめん、で、何だっけ?」
大学のカフェテリアにいると、普段どおりの日常が流れていく。
雑談をする学生たちが、午後の日差しの中で眩しく見えた。
時々男子学生と、目があう。
とびきりの美人ではないが、泉は男の目をひく愛らしい顔立ちをしていた。
「泉だったら、男の子は選びたい放題でしょ?」
突然の蓉子の言葉に、泉はドキっとする。
「そんなこと、ないよー。全然っ」
可愛い顔を崩して、泉は首を振った。
すらっとした体型でありながらも、肩の少し下まで垂れた栗色の髪の途切れる辺り、彼女の胸のボリュームは服の上からも分かる。

ふと、蓉子が聞いてきた。
「泉、…ホントに彼氏、いないの?」
「いないよ…」
「理想が高すぎるんじゃないの?」
「理想ねえ……」
泉は溜息が出た。
(彼氏なんて……私はこの先、普通に戻れるんだろうか…)
「そうだ、この前のベンツの人は?」
無邪気な蓉子の言葉に、泉は後ろめたい気持ちでいっぱいになる。
「あの人は違うの。ただの後輩」

昔付き合っていた彼は、泉が1年の時の3年生で同じテニス部の先輩だった。
優しい感じで、後輩からも同年代からも人気があった。
3年間付き合っていたが、自分も違う大学に入った頃に彼氏に二股をかけられていたことを知り、別れたのだ。
いつから浮気をされていたかもよく分からなかった。
後で考えると、もしかしたら自分が浮気の対象だったのかも知れない。
それなりに楽しい付き合いではあったが、自分も未熟であったし後味の悪い別れ方だった。
――― 彼は初めての人だった。
それ以来、泉は色々な人に交際を申し込まれたが、彼との別れ方が悪かったせいか一歩踏み出せず、ずっと付き合っている人がいない状態が続いていた。
…ちょうど、彼氏と別れて2年になる。
女子大生なのに彼氏がいないなんて寂しい気もするが、今は女友達と遊ぶ方が楽しかった。

(そう言えば…あたし…セックスしたのすごい久しぶりだったんだ…)

彼氏しか知らなかった自分は、経験的にかなり未熟だったと今更に泉は気付いた。
それなのに、いきなり二人にあんな快楽を教えられてしまったのだ。
知らなかった感覚が突然体の内に生まれ、そしてそれは行為を重ねる毎に、水を与えられ伸びる植物のように大きくなってしまう。
悪い事をしているのだと理性が咎めても、泉はもう戻れなかった。



トオルがベンツで迎えに来る。
そのままトオルの部屋へ行く。
アキラはもう部屋へ来ていた。

――― 甘美な時間がまた、始まる。



1週間に1回くらいのペースで、二人に会うのが決まり事のようになっていた。
泉は二人との関係を止められなかった。
会えば、溺れてしまう。
溺れれば溺れるほど、そこから抜け出せなくなる。
ずるずると1ヶ月が過ぎて、夏休みに入った。


いつも連絡は、トオルが泉の携帯にしてきた。
ここ1週間、その連絡がきていない。

(あたし…欲しがってる?……)

体が、二人とのセックスを期待している。
彼らとの関係に、溺れきっていた。
そんな自分をもう否定するつもりはもうなかった。

(ほしい……。あたし……)

ベットに横になっても、なかなか寝付けない夜。
部屋は冷房がよく効き、寒いぐらいだ。
布団を被り、泉は目を閉じる。
(トオル……)
トオルが優しく自分の乳房を愛撫するのを思い出した。
(アキラ…)
トオルにすっかり高ぶられた体を、アキラが激しく責める。
(ああ……)
二人と過ごす時間のことを思い出し、体の芯に甘いものが走る。
まるで夢の中にいるように、彼らにはいつも泉を丁寧に愛撫してくれた。
今となっては彼らの行為は強引なものではなく、むしろ泉は大事に扱われているような気がすることさえあった。
それがこの関係から抜けられない一つの原因にもなっている。
(トオル…アキラ…)
いつも彼ら二人に同時に責められる事で、興奮が高まってしまう。
一人のベッドの中で、自分のされている事を思い出す。

(あああ……ほしい…)

泉の右手が自分のパンティの方へすべっていく。
そして、下着の中へ手を入れた。
(ああ…)
右手の指は肉の間を分け、溢れている液体を確認する。
(あん……)
自分の裂け目全体を潤すように、指で液体を撫でつける。
体の前の方にある突起は、すっかり大きくなっていた。
いつも彼らに愛撫されているそこを、そっと指先で擦ってみる。
(はあ……あん…)
快感が緩い電気のように、体に流れはじめる。

(ここ…気持ち、いい……ああん…)

指先で自分の割れ目を、クチュクチュと刺激した。
どんどん愛液が溢れ出してくる。
(はあ……いい……はううん…)
彼らの愛撫を想像した。
(ああ、いい……あん…トオル……)
「はあ……はあ……はあ…」
(もっと…欲しい…アキラ…)
泉は布団の中で、小さく息をした。
指先の動きを強く、早くする。
自分が濡れているのを指で感じることで、ますます興奮が高まってくる。

(はあん……いっちゃう…ああん…)

下着を自分のもので湿らせながら、泉は一人で軽く達した。
達した後もずっと、トオルとアキラのことを考えていた。

(もっと…いかせて欲しい…もっと…)



「泉ちゃん、可愛いよな」
トオルが煙を吐きながら言った。

空になったビールのグラスを軽く持ち上げ、アキラは店員に目で合図する。
「思った以上に感度のいい子だったな」
思い出しながらアキラは言った。
「今までの子と違って、飽きさせない何かがあるよな」
トオルが笑いながら言う。
「やっぱ体がいいからか…?」
アキラはニヤリと笑ってトオルを見ると、空のグラスを脇にやり、タバコへと手を伸ばした。
トオルは再び煙を吐きながら真顔で答える。
「それだけじゃないと思うけどな」

高校時代から、彼らは時折狙いを定めた女の子を言葉巧みに騙し、無理やりに犯していた。
女達は始めこそ嫌がるものの、そのうち快楽に負けて皆自分から求めるようになっていくのだ。
そして相手から求められてしまうと、二人はその関係を鬱陶しく思ってしまうのだった。
泉は体ではハッキリと求めながらも、心の奥は常に罪悪感にさいなまれている。
その姿が、彼らの本能を刺激した。

「泉ちゃんとは、長く付き合えそうだよな」

薄笑んで、トオルは言った。
その視線の先で、泉の乱れた姿を思い出していた。





―― 二人に抱きしめられながら、泉は目を覚ました。

いつのまにか眠ってしまったのだ。
裸の彼らに包まれて、何ともいえない居心地の良さを感じた。
最初の時こそ無理矢理に犯されたが、今は二人から優しい愛撫を受けていた。
(天国みたい……)
泉はそんなことを考える。
対照的な魅力を持つ彼ら二人は、自分の望むものを望んでいる以上に与えてくれる。
年下の二人はあどけない顔で眠っていた。

屈折した考えが頭をよぎる。
泉は、まるで二人の天使をつれた女神のような気分だった―――。



9月に入り、大学も再び始まる。
結局、泉の夏はセックス漬けになってしまった。
ふと気がつくと、エッチなことばかり考えている。
(もう、あたし…本当にダメになってる…)
この関係はダメだと心の中では否定したかったが、いつも彼らの魅力に負けてしまっていた。

「泉ちゃん!」
待ち合わせの場所にトオルが車で来た。
泉は助手席に乗り込む。
その一連の流れも、毎度のことになっていた。
「今日はゴハンでも食べに行こうか」
「…え?……う、うん」
唐突な提案に、泉は戸惑いながらも頷いた。
「じゃあ、横浜に行こう」
少し窓を開けた車内に、涼しい風が入ってくる。
それが海の匂いになってきたとき、トオルの車はビルの駐車場に入っていった。
「ここ、前から目をつけていたんだ。一回泉ちゃんと来てみたいと思ってさ」
エレベーターで最上階に上がると、明るい感じのレストランがあった。

「きれい…」

夕方の海が上から見渡せ、店内はうっすらとオレンジ色に染まっていた。
「いいとこでしょ?今日はゆっくりしようね」
白木の椅子に腰を下ろしながら、トオルは言った。
「今日は二人きりだよ。たまには、こういうのもいいでしょ」
「……うん……」
いつもとは違うパターンに、泉はドキドキしていた。

日が落ちてすっかり暗くなってしまうと、遠くの方に明かりが幾つも見えてくる。
「あっち、東京の方だよ。お台場の方……橋があるの、分かる?」
「あ、……分かった分かった」
普通の会話。
今の二人は、恋人同士にしか見えないだろう。
ワイングラスの先を指で撫でながら、泉は言った。

「何だかデートだよね、これ」
「だってデートだもん」
トオルが笑って答える。

「こういう感じ、すごい久しぶりかも…」
ほろ酔い気分になった泉は、顔を少し赤く染めてつぶやいた。

「久しぶりついでに、ちょっと散歩でもしてみようか?」


海沿いの公園を歩いた。
夜の公園はカップルしかいない。
近くにライトアップされた客船が幾つも留まっていた。

「泉ちゃん…」

「あ…」
トオルが泉の手を握った。
「デート気分が高まるだろ?」
手をつないでしばらく歩き続けた。

(や…なんかドキドキしちゃう…)

見通しのいい場所で、二人は立ち止まる。
「今日、アキラは何してるのかな?」
「アイツは今日、バスケ。ああ見えて意外にアイツ健康的なんだよ」
「バスケ?!…今でもしてるの?」
アキラが高校の時にバスケ部だったことを思い出した。
まじめにやっているのを見た事はなかったが、運動神経が相当いいというのは学校でも有名だった。
「なんか先輩にスカウトされてさ、時々チームに入ってやってるみたいだぜ。
ちゃんと試合とかしてさ…だからアイツいい体してんだよ」
「そーなんだ…。トオルは何かやってないの?」
「なんも。すんごいエッチくらいかな」
トオルはいたずらっ子のような表情で笑った。
「バカだね…」
泉もつられて笑顔になる。
「はは…ちょっと座ろうか」
トオルは泉の手を引いた。
泉は薄いベージュのワンピースを気にしながら、近くのベンチに腰を下ろした。
海からの風は涼しく、遠くで汽笛のような低い音が聞こえる。

「トオルは誰かと付き合ってないの?」

「え?泉ちゃんとつきあってるじゃん」
「………そうじゃなくて…彼女っていうか」
「いいのいいの。俺は泉ちゃんがいいの」
笑いながらトオルが泉へと振り返る。
「………」
『泉ちゃんがいいの』という言葉が胸に引っ掛かり、不覚にもドキドキしてしまった事に泉自身戸惑ってしまう。
「何?泉ちゃんは不満なの?」
トオルは手を伸ばし、泉の髪を優しく撫でた。

「………」

トオルの唇が泉の唇に触れた。
まるで恋人同士のようなキス。
トオルの唇の感触は柔らかかった。

(あ…ん…どうしてこんなにキスが上手なの……?)

トオルの舌先が泉の口の中を愛撫する。
たっぷりとキスをされて、泉はトロンとしてくる。
「トオル…」
肩を抱かれ、まるで普通のカップルのようにそのままベンチで寄り添い会っていた。
時折自分の目を見つめ返してくる泉の瞳の可愛さに、トオルは興奮していた。

「泉ちゃん…今日…泊まれない?」

「ん……」
トオルの表情に、欲情の色が見てとれる。
そして泉自身の中にも、熱いものが沸いていた。
泉はしばらく考えて、言った。
「…家に電話してみる」



湾岸道路沿いのホテルに入った。
「暑いよな…。オレ、シャワー浴びてくる」
トオルは半そでのシャツを脱いで、さっさと風呂場へ行ってしまった。
ラブホテルといっても、最近はかなりオシャレな作りになっている。
泉は、周りを確認してみた。
ライトは暖色系で統一されて、いやらしいムードを感じさせない落ちつけるインテリアになっていた。
女の子でも使い易いように、洗面所にはアメニティグッズが充実している。
すぐにトオルは出てきた。
「泉ちゃんも行ってきなよ」
「…うん」
素直に頷く。
泉はもう興奮していた。
いつもとは違い、二人きりで、普通の恋人のように過ごせることがなぜか嬉しかった。

(こんなふうだったら、良かったのかも…)

シャワーを浴びながら、泉は考えていた。
(普通の恋人同士だったら…)
一人の男性として、トオルを意識し始めていた。


「泉ちゃん……」
トオルは泉を普段よりもずっと優しく抱きしめた。

「好きだよ…」

ささやきながらキスしてくる。
好きという言葉に、泉はドキドキしてしまう。
トオルの切ったばかりの短い髪を触りながら、泉は優しいキスをうけとめていた。
「泉ちゃん可愛い…すごい、ホントに可愛いよ…」
トオルは舌先で泉のピアスをいじりながら、甘い言葉と一緒に彼女の体へも愛撫を始める。

「今日は二人きりで…たっぷりしようね…」

トオルの唇が泉の体の上を這う。
「はあ……ん……」
何度もセックスしているのに、二人きりだと全く違うものだった。
(あん……トオル……)
トオルは口で泉の敏感な部分ををたっぷりと愛撫した。
泉の中に指を挿入しながら、突起を舌で丁寧に舐める。
「あ……あああ……」
泉の表情が快感でゆがんだ。
トオルはあくまで優しく、泉への愛撫を繰り返した。

「はあ…んああ……んんん…」
「すぐにイかせてあげるよ……」

泉の膣へ片方の手の指を入れたまま、肉芽を緩く刺激し続けた。
「あう……んああああ……はああああん!…」
強くされるよりも弱くされる方が感じてしまうことを、トオルはもう充分に理解していた。
じらす位弱いまま、全ての愛撫の速度を上げていく。
泉の腰が震えた。
(あ、もう…もう…イっちゃう…)

「あっ、あ、あ、…だ、めっ…イくうっ………あああっ!」

全身をガクガクと揺らして、泉は叫んだ。
その刹那、ガックリと体が崩れ落ちた泉を、トオルは受け留め抱きしめる。
「気持ち良かったの…?泉ちゃん?」
「はあ、はあ……うん…」
息をきらせながら、泉は首を縦に振った。

彼女のあごを手で支え、トオルは泉の唇にキスした。
「んん…」
泉の体中に、まだ甘い余韻が残っていた。
唇からその甘さが更に全身に広がり、泉は頭がぼうっとしてくる。
トオルはキスしたまま、先端を泉の入り口へ当てる。
「はう……んんんん……」
挿入した瞬間、泉の体が固くなった。
トオルは唇を離して、泉を見た。
「オレのも、気持ちいい?」
「ん……気持ちいい…」
眉を潜め頬を紅潮させた泉は、目を閉じたまま頷く。
「可愛い……泉ちゃん…」
トオルは静かに彼女の中へ自分のモノを埋めた。

「オレのこと、好きか?」

トオルはじっと泉を見つめる。
いつもとは違う彼の視線が、泉の心に染みた。
「………好き」
静かに泉は答えた。
その声は切なげに響く。
トオルのものは全部、熱い泉の中に入っていた。

「可愛いよ…泉ちゃん…」

トオルが動かし始めた。
「はあ、は…あああ…あっ、あん、…」
強い刺激が泉の体内を貫く。
泉の体中に甘さが広がり、切なくて溶けてしまいそうになる。
「はう、あう、…ああううんん……」
抑えきれずに甘えた声をあげてしまう。
思わずトオルの首へ腕を回した。
「はあああっ…気持ちいいっ、…トオルぅっ……」
「泉、オレの方、見て」
「ああああ……」
泉は官能の中で、閉じていた目を開き、トオルを見つめた。
トオルの目に映るその表情は、とても淫靡だった。
「すごい色っぽいよ…、泉ちゃん…すごい可愛い…」
「あ、あ、…あ、あ…」
体を揺らされる快感に、たまらずに泉は思わず目を閉じる。

「だめ、目を閉じないで」

泉は、こんな顔をトオルに見られるのが恥ずかしかった。
「や、…あああん…」
トオルの動きが早くなる。
「んんんっ、あああっ、ああっ、…」
(ああ、……気持ちいいっ…)
恥かしさが興奮を高め、泉はますます良くなってしまう。
開いた脚の間からはたくさんの愛液が溢れ、固くなったトオルのペニスを滑らせる。
泉の体の奥まで、トオルから送られる振動が伝わっていた。
それは快感の波を作り、全身に広がり響いていく。
(ああ、もう……もう…)

「…アキラよりも、いい?」

泉の耳元で囁きながら、トオルは泉の限界まで深く突いた。
奥に当たる部分に自らの先端を激しく打ち込む。
「いいっ、…いい、…あああ!…はうぅぅん…」
泉の体は感じすぎて、どうにかなりそうだった。
トオルの汗が泉の体にかかる。
強く泉への出し入れを繰り返し奥へ奥へと打ち付けながら、トオルは言った。

「泉っ…、オレの名前を言えよ…」
「はあっ、はあっ、…トオル……トオルっ…ああ、あ、ああ…」

「ああ…泉ちゃん…」
トオルは泉にキスした。
容赦なく自分の猛りを、泉の子宮の入り口へ突きたてた。

―― トオルは泉の体の中へ勢いよく射精した。
泉は抱きしめられながら、トオルの激情を体内で受けとめてしまう。
体の中で、トオルのものとともに性感が震えた。
「んぐ、ん、んんーーーっ……」
唇をふさがれながら、泉もまた絶頂を迎えた。

「はあ、はあ、はあ……」
お互いに息を切らし、裸でつながったまましばらく抱き締め合っていた。

軽くキスをすると、トオルは泉の体から自分のものを抜く。
「あ…出てきてる…」
泉は自分の中から、トオルのものが沢山零れてくるのを感じた。
「……泉ちゃん、ピル飲んでるんだよな」
「うん…」
泉は二人との交際が始まってから、念のためピルを飲むようにしていた。
「でも、中で出されたのは、初めて……」
「やっぱ中出しの方が、気分いいな……泉ちゃんは?どっちがいい?」
「中の方がいいけど…。でもやっぱり怖いかな…」
「じゃあ、3人でするときは、外で出そう。それで泉ちゃんをぐちゃぐちゃに汚すんだ。それでいい?」
無邪気にトオルが笑う。
「……もお…」
泉は目を閉じてトオルの手に触れた。

初めてされた夜以外、アキラもトオルもずっと泉に優しかった。
おかしな感覚なのだが、最近ではまるでずっと友達だったような気さえしていた。
(高校の時だって…後輩なのに、そういえば二人とは結構仲が良かったような…)
平和だった高校時代の関係を思い出して、泉は少し胸が痛んだ。

「たまにまた、二人きりでしようよ。泉ちゃんがイヤでなければ」
「……うん……」

(こうしていたら、まるで普通の二人なのに…)

今日の行動全てが、普通の恋人同士とどう違うのだろうと泉は思う。
3人でなかったのなら、トオルとはどんな関係になっていたのだろう。





「ダメ…、こんなの…」

その日はアキラが友人からミニバンを借りて来ていた。
トオルのマンションから、3人でアキラの借りた車に乗り、珍しく出かけた。
アキラが運転している。
車は、渋谷の中心に入った。
夕方の道路は混雑していて、歩行者の群れが車を追い越して行く。

後部座席にはスモークガラスが貼ってあるが、泉は気が気ではなかった。
座席は半分倒されていて、半分横になった泉をトオルが押さえつける格好だ。
泉のスカートは太ももの上まで捲り上げられ、ショーツの上からトオルに敏感な部分をいじられていた。
「やぁ…」
トオルの中指が、泉のクリトリスのあたりを優しくこする。
「は…、う…」
泉は背中をブルっとさせて、声をこらえた。
既に泉のショーツは水分を含んで、重量を増している。
「泉ちゃんはこういう風に恥ずかしい事されるの、好きだよね…」
「ち、…ちが……」
トオルが泉の耳元に近づいて言った。
「ちょっとマゾっ気があるよね…」

泉のショーツの脇からトオルの指が入って、その部分を直に触る。
「はああぁぁんっ…」
すぐにトオルは指を挿入した。
「ほーら、もう、簡単に入っちゃうよ」
「ん…やんっ、ん…」
ファッションビルが立ち並ぶ外は、大勢の人で賑わっていた。
渋滞しているので、すぐ横の隣の車の中までよく見える。
アキラは運転しながら、二人のいやらしいやりとりを聞いていた。
手を伸ばして、車のオーディオを切る。
静かになった車内に、泉の吐息と声だけが響いた。

トオルは泉に指をさし込んだまま、キスした。
「んぐ……」
泉の口の中にトオルの舌が入ってくる。
トオルが泉の中に入っている指を動かした。
「んっ…くっ…」
泉はトオルの肩に手をかけて力を入れ押すが、トオルは離れない。

(ダメ…感じちゃう…)

トオルはいったん泉の中から指を抜きショーツを膝まで下ろすと、後部座席左側の肘掛を倒し、泉の片足を持ち上げてそこに上げる。
「泉ちゃんのあそこ…丸見えだ…」
「やん……ダメ……こんな、道路の真ん中で…」
アキラの背中ごしに、薄暗くなった街が見える。
信号が青に変わるが、のろのろとしか車は進まない。
クリアなフロントガラス越しに、泉の姿態が外から見えてしまいそうだった。
「ここ、大好きだよね…?ここ触ると、いっぱい出てくるもんね…」
トオルが泉のクリトリスを本格的に責める。
「うっ…うあ…、はぁ…」
薄暗い車内に、泉の声が響いた。

「暑いな…」
アキラは前の席の窓を、少しだけ開けた。
トオルが泉に囁く。
「可愛い声が、外に聞こえちゃうよ…」
(やあ…意地悪……ああ…)
泉は思わず自らの指を噛んだ。

クチュッ、クチュッ、チョプッ…

(イヤ……やあんっ…)
トオルは泉のそこに指を付けては大きく離しまた触れては大きく離し、わざと大きな音を立てた。

「アキラ、泉ちゃんの音、聞こえるか?」
「いや…あんまり聞こえねえけど」
ゆっくりと車が進む。
「じゃあ、こうは?」
(くぅっ!…)
トオルは指を2本、泉にグっと差し込んだ。

グチャッ、グチャ、グチャッグチャッ…

中で指を動かされ掻き混ぜられ、泉のそこは空気とともに大きな水音を立てる。

(イヤっ…イヤ…恥ずかしいっ…)
「くっ…、うぅぅっ…」
泉は懸命に、声を堪えた。
「さすがに聞こえるだろう?アキラ」
「ああ、……しかしお前らホントにスケベだな…」
トオルが泉から出している大きな音を聞き、アキラは半ば呆れた口調で言った。

グチュグチュッ、グチャッ、グチュッ…

「やっ……、…っ…んんんっ…」
いつか指摘されたGスポットであろう泉のその部分を、トオルの指先が激しく振動させる。
(ダメっ…そんなにしたら……ああっ…)
「く、うぅっ!…」
思わず下唇を強く噛んだ。
泉の両脚に力が入って、肘当てに掛けていた左足が外れる。
「イっちゃうの……?泉ちゃん…?」
グチュックチュッ…クチュッ、クチュッ…
「んあ…あ、あ、ああっ…」
(ダメ、声は……)
窓の外が気になったが、泉は声を我慢できなくなりそうだった。
そして同じように、高みへと向かい湧き上がる快感も抑えられない。
既に泉の股間は、愛液でべとべとになっている。
脚を伝って、既にシートを汚していた。
トオルは泉の愛液で濡れている指に、更に力を込めて内部を混ぜた。

「うあ!…っ…んーーーーっ…!!」

ビクンビクンと体を震わせ、泉は絶頂に達した。


「さてと、…」
トオルはぐったりしている泉の脚を開かせ自分の上にまたがらせると、すぐに自分のペニスをぐっしょりと濡れた泉の股間へと挿入した。
(ああ…入ってきちゃうぅ……イったばっかりなのに…)
「うっ…あああっ…んんっ…」
(こんな、…場所で…誰かに見られてしまうかもしれないのに…)

「すごいな、泉ちゃんは道の真ん中でエッチできるんだ」

そう言いながら、トオルは泉を突き上げた。
「くっ、うっ…はっ…はあっ…」
(ああ……、気持ちいいっ…ああん…)
トオルは泉の腰を強く押さえ込み、彼女の体重を借りて自らのものをより深く挿れた。
「あぁ!…ああ…」
「動きにくいな…この格好は…」
泉を斜めに寝かせるように座らせると、トオルは自分の体を横に向け、泉の片足を持ち上げた。
「おい、あんまり派手にやるなよ……捕まるだろ」
アキラが苦笑しながらバックミラー越しにトオルを見て言った。
角度によってはアキラから、トオルと泉が結合している部分が見える。
「いいじゃん」
腰が自由になったトオルは、泉の中を思うように掻き回した。
「うっ、う、んっ…は、あぁ…」
小さな声ではあったが、泉は既に甘く鳴いてしまっていた。
(やれやれ…)
アキラは窓を閉めた。
信号が赤になり、車が停止する。

トオルは泉の中が締まったのを敏感に感じ取り、動きを強くして更に激しく泉を揺さぶった。

「ふあっ!…うあ…あ、あ、…あああん、んんっ…」


泉は道路の真中で、貫かれて達してしまった。

 

   

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