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泳ぐ女
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1.プロローグ

彼女はほとんど裸同然の姿で、週刊誌の表紙を飾る。

すらりとした体型に腰まで伸びる艶やかな髪。
銀色に近いグレーのキャミソールを着て、幼さの残る甘い顔で笑う。
ハラリとページをめくると、彼女の表情は一変する。
何かを言いたそうに開いた唇は潤み、黒いシーツの上に横たわる起伏の富んだ素肌はその陰影を更に色濃くした。


――― 彼女はたくさんの男を相手にする。


「なるみちゃん、最近本当にスゴイね。芸能人みたいだよ」
支店長がなるみに声をかけた。
本人ではなく、別の茶髪の少女が答える。
「なるみのおかげで、うちらの指名料も上がったし。ホントになるみには感謝するよ」

「何だか、忙しすぎて」
鏡の前にいたなるみは、振り返ってにっこりと微笑んだ。
グラビアの仕事を受けてからというもの、確かに忙しくなっていた。
風俗という本業よりも、撮影などの方が実際に時間を多く取られている。
なるみ自身、自分のスケジュールが分からなくなりそうな程だった。
「あ、この制服新しい?カワイイ♪」
なるみはお嬢さん学校っぽいブレザーを見て言った。
支店長が答える。
「今日は藤谷さんが来るから。それは彼からの差し入れ。わざわざ仕立てたらしいよ。ホントになるみちゃんにはお金を惜しまないなぁ」
なるみはちょっと苦笑する。
「相変わらず女子高生が好きだなぁ…」

「急いで着替えないと」
もうすぐ夕方の6時を回る。
「なるみ」の出勤は、午後の6時から0時までで、1日平均2人。少ないときは1人を相手にすればいい。かなり余裕のあるスケジュールである。
「なるみ」の指名は必ず3時間以上で言ってくる客が多い。雑誌などに出るようになってから、予約や問い合わせが殺到し、実際になるみが相手にできる人は限られてしまっている。もちろん、ギャラを多く払える客が優先だ。だから彼女は数をこなさないで済む。


「もう、庶民のなるみちゃんじゃなくなるんだな」
「ごめんね…。お店が変わっても、来てね♪」
なるみの制服の膝を藤谷の手が触る。
「ムリだよ…。そんな金ないもん。もう既に破産しそうなのに」
なるみの異動する店は、藤谷のような者が来られる値段設定ではなかった。
なるみにはそれが分かっていた。藤谷はなるみにとって付き合いの長い客だった。
「今までありがとう、藤谷さん…」
なるみは藤谷にキスした。
彼女は馴染みの客にキスする事を惜しまない。そういう所も人気の一つだった。
「やっぱり俺だけのアイドルってのは、ムリなんだよな…」
もう30を過ぎているサラリーマンの彼にとって、唯一で最高の贅沢な楽しみが、なるみと過ごす時間だった。そのためには幾ら金を出しても構わないと、藤谷は心の中では思っていたが…。
「ホントにありがとね。藤谷さん」
再びなるみは唇を重ねながら、藤谷のネクタイを緩めていく。
「なるみちゃん…」
優しい性格のこの男は、なるみにとっては居心地が良かった。
ただ、普段はひどく大人しく、内気な性格から援助交際などできるはずもなく、こうしてイメクラにハマってしまったのだ。
「優しくしてね…なるみちゃん…」
(普通は逆だよね…)
なるみは思いながら、ちょっと笑ってしまう。
イメクラに来るお客はシチュエーションを設定するのを好む。
藤谷は女子高生の姿をしたなるみにされるのが、気に入っていた。
なるみのお客は皆優しかった。
彼女は元から売れっ子で、すぐに彼女の方が客を選べるようになっていた。

「あっ…」
なるみは藤谷の上になり、自分の体を沈めていく。
「あぁぁっ」
藤谷が女性のような声を上げる。
「まだイッちゃ、ダメ…は、…あぁぁんっ」
なるみはわざとゆっくり腰を動かした。
中ですっかり固くなっている男性を確認するように、体の内をぐっと締め付けてみる。
「あっ、なるみちゃんっ、…いいっ…」
「はぁんっ、ん、んっ…」
制服を着たままの状態で、なるみは上下に体を揺する。
「なるみちゃんの中、すごく動くよ…」
なるみは「中が動く」と、よくお客から言われるのだが、自分ではどうなっているのかがよく分からない。ただ、こうして毎日のように性交を繰り返しているのに、なるみはセックスが好きだった。
自分でも感じ易い方だと思う。
なるみは動きを速くした。中から熱いものが溢れてくる。
「あぁ…あたしも気持ちいいっ…はぁ、はぁ…」
「ダメだ…。なるみちゃん、も…いきそうだ…あ…」
「ダメ、…いや、もっと…あんっ…」
自分に擦り付けるように、なるみは動きを早める。
彼女の長い髪が動きにあわせて揺れる。
全裸の藤谷に制服のまま、またがっている彼女の姿はまるで女生徒が中年教師をレイプしているように見えた。
「あっ、ダメだ!…っなるみちゃんっ!」
藤谷はなるみの動きに同調して、果てた。



(社長自ら呼び出しなんて…なんだんだろ?)
大物ばかりを相手にする会員制高級イメクラオープンのための看板として、なるみは現在いる風俗店から異動することになっていた。
経営者の神崎と会うのは今回が初めてだ。
何しろ業界では相当のやり手として、いち早くなるみを他店から引き抜かせた人物である。直接顔を見るものがめったにいないと言われているだけに、なるみは緊張と胸騒ぎを感じながら待ち合わせの一流ホテルのロビーへと向かった。

(やっぱりヤラれちゃうのかな…)

まだ初夏だったが、なるみは黒いキャミソール風のワンピースを着て、肌をかなり露出させていた。普段でも目立つのに、セクシーな雰囲気の服装のせいで、すれ違う男達が振り返る。すらりと伸びた手足と、愛くるしい顔立ちのギャップは、自然と男性を惹きつけてしまう。
タクシーをホテルの前へ停め、吹き抜けの明るいロビーへと入っていった。
「なるみちゃん?」
ロビーのオープンラウンジで微笑んでいたのは、美しい中年の女性だった。
その隣には、地味なスーツに身を包んだ細身の青年が座っていた。

「社長…?」
二人を見比べるように、なるみはラウンジへと向かう。
「申し訳ありません、お待たせしてしまって…」
なるみは二人へ軽く会釈をした。
「いいのよ。はじめまして。なるみちゃん」
女性がにっこりと微笑んだ。黙ったまま、青年も頭を下げる。
「あの…」
言いかけたなるみを、女性が遮った。
「写真で見るよりも、ずっとかわいい子ね」
女性は一呼吸置くと、続けた。
「私が神崎よ。彼は細川君。これからあなたのマネージャーになってもらうの」

(マ、…マネージャー?)

自分にマネージャーが付くという事、そして社長が女性だった事になるみは驚いたが、言葉には出さなかった。
「よろしく。細川です」
表情を崩さないまま、青年が再び頭を下げる。
「はじめまして、よろしくお願いします」
なるみは訳がわからないまま、笑顔で答えた。
明るい自然光が入るロビーに、神崎の茶色い髪が益々輝いて見えていた。
細い体にレモンイエローのスーツがよく似合っている。 指先には見るからに高価そうな指輪が光り、充分に手入れをされているであろう肌からは年齢を押し留めてしまったような不思議な違和感があった。
「なるみちゃんも、これからかなり忙しくなるから、
スケジュールを管理するマネージャーを付けるわ」
社長が笑顔で言った。
「マネージャー…」
なるみは戸惑いながら答えた。
「ふふふ、芸能人みたいでしょう?…でもこれからは半分タレントになってもらうのよ。
いずれはほとんど芸能活動になるかも知れないし」

「タ、…タレント????」
あまりに突然の事で、なるみは自分の事ではないような気がした。
(どうして…?私なんて…単なる風俗嬢なのに)
「あ、…あの、…私なんて…」
なるみの心配をよそに、社長が言った。
「大丈夫よ。今の仕事の方がずっとしんどいんだから。
あなたなら何だってできるわ」
アイスティーを運ぶボーイの視線が、瞬間なるみにとどまり、また離れる。彼の少し驚いたような表情は、なるみが充分に男性を魅了している証でもあった。
神崎はそんな様子を満足げに見ていた。
「まず、写真集を出してもらうわ」
「写真集…?」
しばらく間をおいてから、なるみは言った。
「そんなの…買う人がいるんでしょうか?」
なるみの言葉に対して、神崎が笑い出す。
「何を言ってるの?あなたへの問い合わせが一体1日にどれぐらい週刊誌の出版社へ入っていると思っているの?あなたは、自分の事なにも知らないのね…。あなたは既にちょっとした有名人なのよ」
(ウソでしょう…?信じられない…。私が…?)
「明日から、私があなたとスケジュールの打ち合わせをします」
細川という男が初めて口を挟んだ。

 

神崎に促されるままホテルの一室へ入る。
中央にはキングサイズのダブルベットがあった。
柔らかな照明に、優しい色合いのグリーンのシーツがかかっている。
「とっても上品なお部屋ですね…」
無邪気になるみは言った。
神崎が笑う。
「あなたは、本当に可愛い子ね。
店ですぐに人気が出たのも、直接会ってみてよく分かったわ…」
神崎はソファーに腰をおろし、あらかじめ届けてあったスーツケースを引き寄せながらつぶやいた。男をほっとさせるようなキャラクターのこの少女が、素晴らしい肉体と美貌を持っている。こんな素材、人気が出ないわけがないと神崎は思う。そしてこの素晴らしい肉体の感度をこれから確かめようとしているのだ。

「それで…、あの、私はどういう風にさせていただいたらよろしいんでしょうか?」
なるみが言った。もちろんそういう意味でだ。
神崎は笑った。
「あなたは奉仕する商癖が身についているのね。ふふふ…。
じゃあこれから私があなたの体がどこまでキチンと発達しているか確認させていただくわ。
…もちろん、私も楽しませていただくけれども」
社長はにっこりして続けた。
「まず、シャワーを浴びていらっしゃい。そして裸で戻っていらっしゃい」

なるみは社長の言うとおり、バスルームへ向かった。
女の人にされるのは初めてだ。
社長は並んで立つと背が高く、過去にモデルでもしていたのかと思うほどのスタイルだった。40歳ぐらいだろうか。それでもソフトな印象の中に、時折蛇のような鋭さをなるみは感じた。これからされることを考えると、少し怖くなった。
(でも、大丈夫…私を傷つけるような事はしないわ…)


なるみがシャワーを出ると、スツールの上に神崎が持ってきた道具が用意されていた。
馴染みのあるものから見慣れないものまで、数種類の玩具がある。
なるみが気になったのは、そのローションボトルの数の多さだった。
神崎もガウン姿になっていた。
「鏡の前に立ってちょうだい」
言われたとおりに、なるみは等身大の鏡の前に立った。

「素晴らしいプロポーションね」

神崎はローションボトルを持ち、なるみの背後に回る。
後ろから手をまわして、なるみの鎖骨のあたりにローションを垂らしていく。
「可愛らしいおっぱい…」
ローションは乳房の上をたらたらと落ち、なるみの腹部のあたりまで流れていった。
神崎はなるみの両方の乳房を揉みほぐす。
「なるみちゃん、…たっぷり奉仕されたことは、ないんでしょう?」
「…はい…」
なるみは自分が奉仕する方だったのだ。
もともと感じ易いので、仕事でも時々イってしまう事があったが、一から十まで奉仕されたことはなかった。
神崎の女の指先が、優しくなるみの形の良い乳房を愛撫する。
ローションをたっぷり垂らしているので、なるみにはとても心地の良い刺激に感じる。
「可愛いわ…」
耳の後ろを舐められる。
乳首には触れずに、ゆっくりと乳房への愛撫は続く。

(こんなに上手に胸を触れる人が、今までにいたかなぁ…)

なるみはぼんやりとそんな事を考えていた。
知らず知らずのうちにリラックスしていく。

神崎は後ろからなるみを抱きしめるような体勢で、ベットへゆっくりと倒していった。
なるみはベッドに上で四つん這いになり、
恥ずかしい部分が神崎の方へ丸見えの状態になる。
「可愛いのは顔だけじゃないのね…ここも…
…ゆっくりイかせてあげるわ…今日は時間がたっぷりあるのよ」
神崎はローションでベタベタにした掌全体で、なるみのピンク色の股間を撫ぜていった。
なるみの体が震える。
「あっ…んんんっ…」
初めて触られる女性の手からの愛撫に、なるみに今まで感じたことのない感覚が走る。
神崎はなるみの全体がベトベトになるように、沢山のローションを垂らしていった。
「はぁっ……」

(気持ちいい…)

何度も何度も神崎の掌が、なるみの恥ずかしい部分全体を往復する。
なるみの方も、だんだんと溢れ出していた。
「感じ易いのね…撫でるだけで、出てきちゃってるわよ」
「社長…」
なるみが肩越しに神崎の方へ振り返る。
「社長じゃなく、今はお姉様と呼びなさい」

「はい……お姉様…」
絹のシーツにローションがポタポタと落ちる。
神崎は焦らすように二本の指でなるみを上から下へ撫でた。
「はぁ……あ、…あぁ…」
なるみから自然と吐息が漏れる。
別段変わった事をしているわけでもないのに、とても感じてしまう。

(テクニシャンって、…こういう事を言うんだ…)

なるみは感じながらも、感心してしまう。
神崎に撫でられると、撫でられていないはずの真中の谷間が、震えてしまうように感じてくる。そして自分の中から溢れてしまうのだ。
細い指の感触が、くすぐったいような微妙な感覚をなるみに与える。
「んんっ…、じ、…焦らさないで……はぁっ…んっ…」
なるみはもう触ってほしくてたまらなかった。
「ダメよ。焦ったら。…ふふふ…」

突然、一番敏感な部分を神崎の指が弾いた。
「ああぁっ!」
「うふふ…」
強く触ったかと思うと、今度は触れていないかというほどのところで、肉芽を優しく撫で始める。
「はぁぁぁんっ…」
なるみはこんな風に優しく愛撫されたことはなかった。
どうされているのか分からないほどソフトなその感触に、自分の身体がどんどん敏感になっていく。神崎の撫でている指の先が当たる部分に、どんどん自分の血が集まっていくのを感じる。
なるみは焦れったいような、それでいてもっとこのまま続けて欲しいような気になっていた。

「はぁ、はぁ…あんっ…いっ…気持ちいぃっ…」

自然に腰が動いてきてしまう。
「もう欲しいの?毎日誰かのをもらっているのに?」
神崎が笑いながら言った。
「まだ、だーめよ」
もう一方の指先が、なるみの中に入ってきた。

ぬぷぷぷっ…

「あぁぁぁぁっ…」
なるみは甘く切ない声をあげた。
「とっても可愛い声を出すのね…それでいいわ…」
神崎が行為を続ける。
「はぁっ、……あぁぁんっ…」
(どうして、指で触られているだけなのに、こんなに感じてしまうなんて…)
神崎の指がなるみの中に出たり入ったりを繰り返す。

っぷっ…つぷっ…ちょぷっ…

たっぷりとローションもかけられているので、いやらしい音がなるみから鳴ってしまう。
神崎は右手で膨らんできた芽を優しく優しく撫で続けた。
すっかり固くなってしまったそれは、神崎が力を入れたらすぐにでも達してしまいそうだった。
「あぁぅ…も…、き、…気持ちいぃっ…
…はぁっ…お、…お姉様っ…は、…もぅ…いかせてっ…」
切ない感覚がなるみの身体から逃げ場を求める。

「なるみちゃん…とっても、いいわ……でも、まだよ」
突然神崎がなるみの身体から全ての指を離した。

「あぁぁぁんっ…」

落胆にも似た声が、なるみの口から漏れる。
もうすこしでイきそうだったのに、突然手を離されて、
なるみの身体は焦れてたまらなくなっていた。
「はぁはぁはぁ……、い、…イきたいです…お姉様ぁ…」
なるみは潤んだ目で懇願した。

美しい笑顔でニッコリと笑い、神崎は言った。
「少し休憩しましょうね」

 

   

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